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ロマンチックなのにどこか切ない。単なる怪物とお姫様のおとぎ話にとどまらない、ギレルモ監督の傑作『シェイプ・オブ・ウォーター』

日本での公開前から、アカデミー賞の賞レースで話題となっていた『シェイプ・オブ・ウォーター』
実際にアカデミー賞では4冠を達成しましたね!めでたい!

SNSでも話題になっていて、絶対観たい!と思っていたのですが、3月1日は話題の作品が大量公開祭りだったので、遅ればせながらようやく本作を鑑賞できました。
アカデミー賞有力候補だからって同じ時期に一気に公開するのよくないよ・・・死ぬほど忙しかったよ・・・

シェイプ・オブ・ウォーター(The Shape of Water)

監督 ギレルモ・デル・トロ
脚本 ギレルモ・デル・トロ
ヴァネッサ・テイラー
出演者 サリー・ホーキンス
マイケル・シャノン
リチャード・ジェンキンス
ダグ・ジョーンズ
マイケル・スタールバーグ
オクタヴィア・スペンサー
公開 2017年
製作国 アメリカ合衆国

あらすじ

1962年、アメリカ。政府の極秘研究所に勤めるイライザは、秘かに運び込まれた不思議な生きものを見てしまう。
アマゾンの奥地で神のように崇められていたという“彼”の奇妙だが、どこか魅惑的な姿に心を奪われたイライザは、周囲の目を盗んで会いに行くようになる。
子供の頃のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は必要なかった。
音楽とダンスに手話、そして熱い眼差しで二人の心が通い始めた時、イライザは“彼”が間もなく国家の威信をかけた実験の犠牲になると知る─。(公式サイトより)

『ヘルボーイ』『パンズ・ラビリンス』『パシフィック・リム』などを手がけてきたギレルモ・デル・トロの最新作。

2017年にべネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映され、見事金獅子賞を受賞。
その後一般公開され、ゴールデングローブ賞では監督賞作曲賞の2部門、アカデミー賞では作品賞監督賞作曲賞美術賞の4部門を受賞しました。

主演を務めるのは、サリー・ホーキンス
私としては『パディントン』の人のいい奥さんのイメージが強いので、今作ではまた違ったキャラクターが見られそうです。

なんてうつくしい映画なんだろう

ギ、ギレルモ〜〜〜〜〜!!!
沁みる、すごく心に沁みます。
今まで観てきた映画の中でもかなり上位に入るほど好きな作品でした。

どこかで変態純愛映画と噂に聞いていたのですが、そんなことなくない!?
全然変態要素を感じなかったんだけど??
やっぱり前情報なんて聞くもんじゃないな!

不思議な生き物と声の出ない女性の純愛映画
内容はシンプルで、今までも描かれてきた題材ですが、ギレルモらしい世界観うつくしい音楽・美術で愛の形を表現しています。
切ない気持ちを残したハッピーエンドの余韻がたまりません。

サリー・ホーキンスとダグ・ジョーンズの演技も素晴らしくて、終始うつくしい、おとぎ話のような世界観を外からみているような感覚に陥りました。
とくにサリー・ホーキンスはほとんど喋らないのに、彼女の感情がしっかり伝わってくるんですよ。
表情や立ち振る舞いの演じ方がよかったな〜

単なる異種族同士の恋物語ではない

1960年代、冷戦中のアメリカが舞台。
政府の研究施設で掃除係として働く一人の女性が、施設にやってきた不思議な生き物と出会い、やがて恋に落ちていく物語。

一言にまとめれば異種族同士の恋物語ですが、そこに現代のかかえるマイノリティの問題を掛け合わせている、社会ドラマな作品でもあります。
ここ数年のアメリカ映画は、マイノリティの抱える問題への提起を描いた作品が多いですし、話題になりますね。
それだけ、アメリカでは人種差別やLGBT、男女差別の問題が大きくなっているということなんでしょう。

主人公のイライザは、幼少期のトラウマがきっかけで、声が出せなくなっていました
それでも彼女は音楽を楽しんだり、映画を観たり、時には友人のゼルダに助けてもらったりして日々を平和に過ごしていました。

そんなある日、掃除係として働いている施設に謎の生き物が運び込まれてきます。
彼女はその生き物に興味を持ち、接触をはかろうとします。

イライザが毎日その生き物に会いにいくうちに、彼も彼女に興味を示し、二人は心を通わせていきます。
しかし施設は彼を解剖してその生態を調べようとするのです。

イライザはなんとか彼を連れ出そうとするのですが、ここで彼女は、同居人で絵描きのジャイルズに協力をしてほしいと申し出るときに、彼への気持ちを爆発させるんですね。

彼女は「ありのままの私を見てくれる」と感情を爆発させながらいうのですが、このシーンとセリフがすごく好きです。
ありのままの自分を見て、愛してくれる人に出会えたら、それはとても素敵なことだよなあ。
このシーンが一番心にグッときました。

このあとイライザは周囲の助けを得て、生き物を施設から逃すのですが、そこからのラブロマンスがまたたまらないくらいロマンチック
水を満たしたお風呂場で二人で抱き合ったり、イライザが歌を歌いながら踊ったり、ロマンチックでうっとりしちゃうんです。

もちろん楽しいい日々は続かないのです・・・
イライザは彼を元の住んでいたところに返そうとし、そして彼の監視員であったストリックランドは彼を取り戻そうと血眼になりながら迫ってきます。

ラストはハッピーエンドではありますが、これは見方によってはちょっと切ない
結局社会のはみ出し者は、社会から外れたところで孤独に暮らすしかないのかな。
その方がお互いにとって幸せなのでしょうか。
あの終わり方も、現代の混乱した社会へ、のけものから訴えかけるメッセージの一つなんじゃないかと思います。

違うカテゴリーで生きる人々の世界

この作品には、社会からのけものにされてきた人々が中心になっています。
声が出せないイライザ、人間ではない謎の生き物、同性愛者のジャイルズ、黒人のゼルダ。

本編のクライマックス、ゼルダの元にやってきたストリックランドに、「彼」の居場所を教えた夫にたいして放つゼルダのセリフも、パンチのある一言でしたね。

「わからないくせに。彼女の気持ちなんてわからないくせに。いつも何も言わないんだから、こんな時も何も言わないで。」

普段から何も言わない人が、ある特定の話題で世間が盛り上がっているときになぜか一緒になって声をあげるというのは日常茶飯事ですが、まさに当事者からしたらこんな気持ちなわけです。
何もその話題のことを知らないのに、ただ世間の風潮に乗っかって好き勝手言うヤツが、どんなヤツよりも愚かで浅ましいですよね。私も気をつけよう・・・

そして、違う世界に生きるもの同士でも、心を通わせようとすることはできるのです。
ストリックランドのように、暴力で相手を服従させようとするのなんてありえない。

それが娯楽、エンターテイメントなんだと本作を観て感じました。
イライザと彼は、音楽と映像、ダンスなどを通じて心を通わせていきます。
イライザが歌い出して、彼と一緒にテレビのなかのセットで踊るシーンなんかはロマンチックでよかったな〜

これはそのまま現実の世界にも当てはまりますよね。
言葉が通じなくても、音楽やダンスを通して心を通わせて、仲良くなって、というのはよく聞く話だし、実際に体験している人もいるでしょう。

それこそ映画というのは、同じ時期に公開されて(日本は時々キレそうなくらい遅いけど、笑)、世界共通でおなじように盛り上がって、感動して、最強のコミニュケーションツールのひとつかもしれませんね。

こういった社会問題に訴える作品を観ると、いつもMr.Children「掌」という曲を思い出します。
曲中に「ひとつにならなくていいよ 認め合うことができればさ」という歌詞があるんです。
私のマイノリティに対する考え方は、まさにこの歌詞の通り、私たちはひとつにはなれないだろう、でも認めてほしいし認めたい、と思っています。

そういえば、ジャイルズは語り手の立ち位置でもありましたが、絵描きという設定やあの見た目や格好がすごくギレルモのように感じて、もしかしてこの人はギレルモなのか?と思ったんですよね。
誰か賛同してくれる方いませんかね・・・(笑)

サリー・ホーキンスの表情がステキ

主演を務めたサリー・ホーキンスの演技、とてもよかったですね〜
喋らずに、表情と手話であそこまで感情豊かに演じられるのはさすが。

特に彼女の表情がすごくよかった。
一人でぼんやり考え事をしているときの表情もよかったですが、やっぱり彼と過ごしているときのサリーの表情が素晴らしい!

彼に恋しています、好きで好きでたまりません、というのが伝わってくるほどのうっとりとした表情。
みているこっちまでうっとりしちゃいました。
お風呂で抱き合っているシーンで、ジャイルズが風呂場に乗り込んでそのままそっと扉を閉めてしまった気持ちがわかります。

謎の生き物役には、ダグ・ジョーンズ
あれは全身特殊メイクなんだよね・・・多分。
人間ではないなにかであるのがわかるような、首の動きや手の動き。完璧です。

あの二人が演じたからこそ、より完成された世界観ができあがったんだと思います。
ピュアな雰囲気というか、穏やかで主張しすぎない雰囲気をまとっていますよね。

悪役に徹したストリックランド役のマイケル・シャノンもよかったな〜!
どんどん頭がおかしくなっていく、典型的な地獄に堕ちていくタイプの悪役を見事に演じていました。

クラシカルな雰囲気の世界観

本作品が素晴らしい作品になった要素として、美術・音楽が大きく貢献していると思います。

衣装や町並み、建物や家具などの1960年のクラシカルな雰囲気が、ファンタジーっぽさを洗練させていますね
全体的に絵面がシックで暗い色調になっているのも好きです。

イライザの衣装もシックでかわいかったな〜!
60年代に流行っていたんであろうワンピースのあのデザインが素敵。
イライザたち掃除係の衣装もかわいらしかったです。

彼と結ばれた翌日に、イライザが赤いヒールを履いていた演出もかわいい。
ゼルダがそれをしてきしたあとにぶっこまれた下ネタは面白かったな。
そういう話しちゃうのね(笑)

イライザが性に関する興味・関心が人並みにあるのがわかる演出も印象的でした。
女だってそういうの興味あるし、人と話します、みたいなね。

衣装といえば、彼女のバンダナも、徐々に色がモスグリーンから赤になっていったりチェック柄になったり、彼女の心のように変わっている細かい演出がにくい。
衣装で心情を表現する演出っていいよな〜

使われている音楽もクラシカルでしっとりめの曲が多かったです。
ピアノ一本だったり、音が少なくて、全体的に静かな曲調のBGMが印象的でした。
作曲賞受賞も納得。いや今回はどの賞も納得でした。

そういえばエンドロールで気付いたのですが、特殊メイクには、今年のアカデミー賞でメーキャップ&ヘアスタイリング賞を受賞した辻一弘さんの名前がありましたね。(ちなみに受賞作品は『シェイプ・オブ・ウォーター』ではなく『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』)

あの生き物は全身特殊メイクってことなのかな?
すごい細かいとこまでつくりこまれているのが画面越しでもわかるんですよ。
全身のひだやウロコ、皮膚なんかは、とてもつくりものとは思えないほどリアルにできてます。

良かった点

・作品の世界観
・メインキャスト2人の演技
・音楽と衣装

おとぎ話のような世界に飲み込まれて、すっかり溺れてしまいました。

悪かった点

・特になし

悪いとこを探す方が難しい・・・

まとめ

今までみてきた作品とはちがう、怪物とお姫様のおとぎ話。
ギレルモの生み出した、しっとりしたクラシカルな雰囲気がまたたまりません。
心にじんわりしみてきて、気付いたら自分も水の中に沈み込んでいるような気持ちになりました。
オールタイムベストTOP10に入りそうです。いや入りました(笑)

文字にした感想を読むよりも、実際に作品を観て、心で作品のよさを感じてほしい、そんな作品です。
ギレルモ監督、アカデミー賞4冠おめでとう!

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