芸術の秋ということで、今週もたくさんの映画が公開されました〜!
今週の新作『プーと大人になった僕』は注目していた新作の中の一つ。
CG技術の発達のおかげで、『ジャングル・ブック』や『ピーターラビット』など、動物が活躍する童話の実写も増えてきましたね。
プーさんも最初の予告をみたときは「!?」となったのですが、予告をみているうちに目が慣れてきました・・・
実はプーさんって、キャラクターのことはよーく知っているのですが、原作の物語を知らないんですよね。
なのでどんなお話になるのか楽しみにしてました!
Index
プーと大人になった僕(Christopher Robin)
監督 | マーク・フォースター |
---|---|
脚本 | トム・マッカーシー アレックス・ロス・ペリー アリソン・シュローダー |
出演者 | ユアン・マクレガー ヘイリー・アトウェル ジム・カミングス ブラッド・ギャレット |
公開 | 2018年 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
あらすじ
少年クリストファー・ロビンが、“100エーカーの森”に住む親友のくまのプーや仲間たちと別れてから長い年月が経った──
大人になったクリストファー・ロビンは、妻のイヴリンと娘のマデリンと共にロンドンで暮らし、 仕事中心の忙しい毎日を送っていた。
ある日クリスファー・ロビンは、家族と実家で過ごす予定にしていた週末に、仕事を任されてしまう。
会社から託された難題と家族の問題に悩むクリストファー・ロビン。そんな折、彼の前にかつての親友プーが現れる。プーに「森の仲間たちが見つからない、一緒に探してほしいんだ」と頼まれたクリスファー・ロビンは、子供の頃プーたちと過ごした“100エーカーの森”へ。
何一つ変わらないプーやピグレット、ティガー、イーヨー、カンガとルーの親子。仲間たちとの再会に喜びと懐かしい日々を感じながらも、仕事に戻らなければならないことを思い出す。
「仕事って、ぼくの赤い風船より大事なの?」と、悲しむプーたち。
急いでロンドンに戻ったクリストファー・ロビンは、森に会議の重要な書類を忘れてしまう……。一方、クリストファー・ロビンの忘れものに気づいたプーと仲間たちは、マデリンの助けを借り、親友のため、初めて“100エーカーの森”を飛び出し、ロンドンへと向かう。
クリストファー・ロビンが忘れてしまった、本当に「大切なモノ」を届けるために──
知らない人はいないであろうディズニーキャラクター、「くまのプーさん」を実写化。
原作であるA・A・ミルンによる児童書『クマのプーさん』と、その作品を基に生まれたウォルト・ディズニー・カンパニーの「くまのプーさん」がモデルとなっているそうです。
監督は『ネバーランド』、『007 慰めの報酬』 、 『ワールド・ウォーZ』などのマーク・フォースター。
大人になったクリストファー・ロビンを演じるのは、ユアン・マクレガー。
リサ
素朴で大人向きな映画
プーやピグレット、イーヨーたちにキュンとしながらも、シンプルでジンとくるストーリーに癒されました。
素朴な映画でしたね〜
ストーリーはクリストファー・ロビンが大人になってからのお話なので、本家の物語を知らなくても楽しめます。
シンプルでどこか淡々としたストーリー展開なのですが、それがかえって社会の渦にのまれた大人には沁みますね(笑)
プーやイーヨーの一言一言に哲学のようなものを感じながら、どんどん作品の世界観に飲み込まれていきました。
リサ
心が疲れ切っている人は、本作を観たら心がガンガン動かされること間違いなし。
子ども向けというよりは、がっつり大人に向けて作られた作品でした。
私はというと、プーさんの考えや行動が非常に自分と近いものがあり、心がほぐれるというよりも「私ってプーさんじゃん!」という違った方向で感動していました(笑)
リサ
大人になりきってしまった、大人たちへ
クリストファー・ロビンは寄宿学校に通うため、100エーカーの森を離れることに。
プーやティガー、ピグレット、イーヨー、カンガ、ルー、ラビット、オウルたちと別れたクリストファーは大人になり、社会に揉まれていくうちにすっかりプーたちのことを忘れてしまっていました。
最初にいきなり少年・クリストファーとプーたちとのお別れをみせられ、大号泣。
二次元の絵本と三次元の現実の世界がうまくリンクされていて、映像も素敵でした。
父の死、戦争、恋愛、結婚・・・と人生の荒波に揉まれ大人になったクリストファー。
仕事に追われ家族との時間も取れなくなり、仕事はクビの危機、家族には距離を取られ、クリストファーは心も身体も疲弊しきっていました。
そんな少年の頃の心を失ってしまったクリストファーが、本作の主人公。
こういう大人が童心に帰って自分を見つめ直す作品を観る度に、歳をとって大人になるってつらいなあと思いますね。
私は子どもの頃の心をいつまでも失えなくて、逆に社会で辛い思いをすることの方が多いので(笑)、こういった類の作品を観ると、どの国の大人もみんなこんなに息苦しい気持ちで生きているのかなと不思議に思いますね。
娘のマデリンが、クリストファーの昔の宝箱を見つけたことをきっかけに、プーとクリストファーは再び出会うことになります。
すっかりひねくれて擦れてしまったクリストファーは、プーの一挙手一投足にイライラ。
ついには、プーに対して「僕らはもう友達じゃないかもしれない」と辛い一言を投げてしまうのでした。
本作は、厳しい現実の社会で生きる大人に強く響くメッセージがあります。
夢はタダじゃない、何かをしなくちゃ何も生まれない、と真っ当なセリフが飛び交う一方、「何もしないこと」が「何かにつながる」と、時には心も身体も休ませることの大切さも説いています。
ポイントなのが、何もしないこと=良いこと、というわけではなくて、何もしないことが、「何か」を生むことに繋がることもあるということ。
要はバランスの問題ですね。
リサ
クリストファーは、イーヨーやピグレット、ティガーたちと再会するうちに、少しずつ少年の頃の心を取り戻していきます。
プーとも和解したクリストファーは、プーたちの昔と変わらない穏やかで自由きままな姿に、いつしか昔の自分を取り戻していました。
クリストファーを散々悩ませた仕事の解決策に関してはやや無理矢理なのでは?とも思いつつも、まあ本作で大切なのはそこではないので追求するのはやめておきましょうかね(笑)
名言のオンパレード
驚いたのが、プーとイーヨーの達観っぷり。
この2匹(2人?)がえらい哲学的で、もしかしてこの子達は哲学者なのかと思ったくらい一言一言が深い。
リサ
「いったことのないところにいかなきゃいけない。いったことのあるところに戻るんじゃなくて。」
「僕は「何もしない」を毎日しているよ。」
「どこかへ行きたい時、じっと待っている。そうするとどこかが来てくれる。」
「北へ向かうんだ。」
中でも、「「何もしない」をする」というセリフは、作品のテーマでもあり、劇中で何度も登場。
これはプーの言葉ではなく、少年時代のクリストフーがプーに放ったセリフだというのが、またいいですよね。
社会の歯車としてガチガチに凝り固まってしまったクリストファーの心を、プーの何気ない素朴な言葉が癒すのです。
それは、「世間の常識」に縛られてしまっている人間からすると、「何言ってんだこいつ?」と思わざるを得ないのですが、だからこそ違う視点での物の見方をするプーたちの言葉に驚かされ感心させられました。
一番好きなセリフは、クリストファーがようやく昔の心を取り戻した時にプーにひどく当たってしまったことを謝るシーンかな。
「プー、ごめんね、悪かったよ。」
「ここにいたから君が来たよ。」
「僕は変わってしまったんだ。」
「君は変わっていないよ。友達だ。」
「僕は迷子なんだ。」
「でも僕が見つけたよ。」
このやりとり、じんわりとしますね。
このセリフの後にぎゅっとハグをする2人が、またかわいいのなんのって。癒されます。
プーが風船をクリストファーに買ってもらうシーンのやりとりも好きだなあ!
その後一度風船を失くしてしまうのですが、その時、
「必要ないだろう。」
というクリストファーに対して、
「でも持っていると幸せなんだ。」
とプーが返すんですね。
わかるわかる、側から見たら全く必要ないものでも、自分にとっては持っているだけで幸せになるものってありますよね。
プーさんのセリフ一つ一つが、凝り固まった頭の中や心をほぐしてくれました。
リサ
ユアンの主張し過ぎない感じがいい
プーたちに負けないくらいいい演技をしていたのが、クリストファーを演じたユアン・マクレガー。
主役を主張し過ぎない程よい存在感がよかったですね。
ユアンが自己主張し過ぎないので、観客はクリストファーに自分を投影しやすくなって、より作品への没入感が高まっていたと思います。
最初はずいぶん擦れたクリストファーだな〜と、衝撃的ではありましたが(笑)、大人になったクリストファーとその後子どもの頃の自分を取り戻した時のクリストファーの微妙な表情や立ち振る舞いの変化がうまく演じわけされていて素晴らしかったです。
リサ
舞台がイギリスということで、ユアン以外のキャストもイギリスを代表する名キャストが勢ぞろい。
ヘイリー・アトウェル、マーク・ゲイティス、トビー・ジョーンズなどなど。
ヘイリー・アトウェル久しぶりにみたな〜
目鼻立ちがはっきりしていていつも存在感抜群ですが、今作では良き妻・母としていいサポート役を演じていました。
実はヘイリーの出演に関しては、彼女のInstagramで知っていたのですが、マークは存じ上げず。
私の中で彼は、完全に『SHERLOCK』のお兄ちゃんのイメージ。
本作でもお兄ちゃんのようにちょっと嫌味なキャラクターを演じていて、ああこれはお兄ちゃんですなと勝手に当てはめていました(笑)
リアルプーさん、違和感なし!
リアルプーさんが動くってどんな感じだろうとソワソワしていたのですが、実際にみると違和感全くないですね!
初めて予告でみたときに、「これがあのプーさん・・・?」とイメージと違って驚いたのですが、いざ劇場でみてみるとすんなり受け入れられました。
デザインは原作の児童書プーと、ディズニーのプーをミックスさせた感じなんでしょうか。
リアルなぬいぐるみ感とキャラクター感のバランスが見事に均等にとれていました。
リサ
プーたちのちょっと汚れてくたっとした姿がまたリアルでたまりませんね。
ぬいぐるみが動くってどんな感じなんだろうかとも気になっていましたが、カクカクするわけでもぬるぬる動くわけでもなく、あくまで「ぬいぐるみができる動き」をしています。
細かく設定が作り込まれているなあと感心しました。
撮影は実際にぬいぐるみを使いながら行われたそうで、ユアンとプーたちとの動きの連携もバッチリ。
プーを抱えながらロンドンを走り回るユアンがめちゃくちゃかわいかったです。
ぴっしりスーツを決めるユアンが小脇に抱えるのは、風船を持ったプー。いいですね、最高です。
100エーカーの森でイーヨーを抱えているのもかわいかった。
総評
評価
良かった点
- プーたちのシンプルながらも深いセリフ
- キャラクターデザイン
キャラ萌え系かと思っていましたが、実際に鑑賞すると、セリフの方が印象に残りました。
悪かった点
- 特になし
クライマックスはやや無理矢理感があったような気もしますが、本編のテーマはそこではないので今回は不問ということで。
まとめ
子ども向けかと思っていましたが、がっつり大人向けのファンタジー映画でした。
プーさんはキャラクターしか知らない、という方でも問題なく楽しめます。
壮大な冒険劇ではありませんが、プーさんたちのシンプルなセリフの応酬にハッとさせられたり、胸にグッと響きます。
淀んだ心がじんわりと浄化されていくのを感じます(笑)
彼らのセリフは一言一句聞き漏らさないようにしてみてください。
あまりの達観っぷりに、原作を読んでみたくなりました。アニメでもいいかな?
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