細田守監督最新作『未来のミライ』が公開されました!
前作は2015年に公開された『バケモノの子』でしたね。あれからもう3年も経ったのか・・・
実は『未来のミライ』の予告を初めてみたとき、あまり心動かされなかったんですよね。
今回はちょっと今までの作品と雰囲気が違うのかな?と感じたわけです。
ただ、なんだかんだ言って細田監督の作品は全部劇場で観ているんですよね〜
それに食わず嫌いは良くないとここ数年思っているので(笑)、『未来のミライ』も鑑賞してきました!
Index
未来のミライ
監督 | 細田 守 |
---|---|
脚本 | 細田 守 |
出演者 | 上白石 萌歌 黒木 華 星野 源 麻生 久美子 吉原 光夫 宮崎 美子 役所 広司 福山 雅治 |
公開 | 2018年 |
製作国 | 日本 |
あらすじ
とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。
ある日、甘えん坊の“くんちゃん”に、生まれたばかりの妹がやってきます。
両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うばかり。
そんな時、“くんちゃん”はその庭で自分のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ、不思議な少女“ミライちゃん”と出会います。“ミライちゃん”に導かれ、時をこえた家族の物語へと旅立つ“くんちゃん”。
それは、小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりでした。待ち受ける見たこともない世界。
むかし王子だったと名乗る謎の男。
幼い頃の母との不思議な体験。
父の面影を宿す青年との出会い。そして、初めて知る「家族の愛」の形。
さまざまな冒険を経て、ささやかな成長を遂げていく“くんちゃん”。
果たして、“くんちゃん”が最後にたどり着いた場所とは?
“ミライちゃん”がやってきた本当の理由とは―
それは過去から未来へつながる、家族と命の物語。(公式サイトより)
『おおかみこどもの雨と雪』、『バケモノの子』を手がけてきたスタジオ地図の最新作。
監督はご存知、細田 守氏。
主人公のくんちゃん役に上白石 萌歌さん、妹の未来ちゃん役に黒木 華さんが抜擢されています。
うーん言いたいことはわかるけど・・・
正直予感的中してしまいました・・・
言いたいことは伝わるけど、話がごちゃごちゃしていてまとまりがないのでなんだかよくわからない。
今までの監督の作品も、日常の中に潜む不思議を舞台に物語が繰り広げられていましたが、日常と非日常がうまくかみ合わさった感じがちょうどよかったんですよね。
しかし今作は不思議要素が強すぎて、日常の世界にうまく溶け込めていなかったような気がします。
ちびっこには分かりづらかったかな〜
でも良く考えると、細田監督の作品って別に子ども向けじゃないんですよね。
過去の作品を思い返すとわりと大人テイストの内容ばかりだし。
ただ、そこはうまくカバーしているんですよ。例えばキャラクターとか世界観とかで。
ストーリーが難しくてもキャラクターが魅力的なら子どもは十分楽しめるし、逆にストーリーが幼稚でもキャラクターや世界観がしっかりしていれば大人も楽しめる。
そこが今作はうまく働けていなかったのかもしれません。
なんたってくんちゃんに共感できない!(笑)
自分もヒステリックおこし気味ですが、それにしたってくんちゃんは困ったちゃんすぎる。
そしてミライちゃんの存在意義もよくわからないところが多すぎる。
あれですね、細田監督が今まで描いて来た作品の「好き」(というか監督の「好き」)をおもいっきり詰め込みました!って感じの作品でしたね。
リサ
家族のルーツを辿りながら、くんちゃんが成長する
ストーリは、妹が生まれた男の子・くんちゃんの成長物語を中心に、命のリレーで繋がる家族の物語を描いています。
妹が生まれたことで、おかあさんやおとうさんは妹につきっきり。
自分が仲間はずれにされている、愛されていない、と感じたくんちゃんは、どんどん心に孤独を抱えていきます。
そんなくんちゃんは、ある日中庭で人間の姿をしたペットのユッコと、未来からやって来た妹のミライちゃんに出会うのです。
人間のユッコと未来のミライちゃんに出会ってから、くんちゃんの不思議な大冒険の日々が始まります。
根幹にあるテーマはシンプルで分かりやすいのですが、物語の核に到達するまでがなかなかややこしい!
散々あっちこっち遠回りしたのに、突然物語のテーマがドカンと現れてきて、え?いきなりそんな話になるの?と混乱してしまいました。
ストーリー展開がめちゃくちゃなんですよね。もっと正直に言ってしまうと、脚本がガタガタ。
日常と非日常を唐突に行ったり来たりする流れは、どうしても物語そのものにのめり込めなくなってしまいます。
自分が極端な性格のせいか(笑)、どっちかにしてくれ!と思っちゃうんですよね。
家族の系譜を描きたいのはわかるのですが、それぞれのエピソードがぶつ切りすぎて、逆につながりを感じられませんでした。
もうそれならいっそのこと、くんちゃんが不思議な世界に迷い込みっぱなしでいてほしい。夢オチでいいから。
例えば、妹が生まれて両親の愛が独占できなくなったくんちゃんが、不思議な世界に迷い込んでしまって、過去を辿りながら家族の物語を追体験して、最後にちょっと成長して元の世界に戻る、とかだったらストーリーや世界観も統一できていて伝わりやすいと思うんですよね。
その不思議な世界でのくんちゃんのサポート役がユッコとかミライちゃんとかだったら、こちらも世界観に入りやすくないですか?
リサ
あとは、そもそもの舞台設定が気になってしまいました。
まず家のつくりが子どもに優しくなさすぎてびっくり。
建築家の家だから〜ってなんじゃそりゃ!?
くんちゃんの腰くらいまである階段の高さ、壁や手すりのないロフト、子育てする気あるのかと。
さらにいえば、両親の子育てに対する姿勢が、責任感足りない気がしてしまってねえ。
現代の共働きの現状を描きたかったのかもしれないけど、それにしても両親はくんちゃんを放っておきすぎでは?
リサ
子どもいないのではっきりとおかしい!とは言えませんが・・・そんなものなのでしょうか?
なんかな〜どの層にも喧嘩売っちゃってるんだよな〜
年齢や性別、ファミリー、独身、映画好きなどなど。
逆にこの映画どの層に響くんだろうか、と思ってしまいました。
あまりマイナスな点ばかり書きたくないのですが、あまりにも良かった点が少なすぎてなあ。
ああ、でもこれから子育てしていく夫婦や家族には学びになったかもしれませんね。
私も、子どもがこうなったらこう対応したらいいのかな、とか、自分だったらこうするな、とか、子どもはこんな時こんなことを考えているんだな、とか考えられたのは学びになりました。
キャラクターも共感しづらい
このように、ストーリー展開がいまいちハマらなかっただけでなく、キャラクターもハマんなかったんです。
なんならキャラクターの方がひどかった。
まず主人公のくんちゃんに全く魅力を感じない。
わがまま放題のくんちゃんに終始イライラしてしまう。
リサ
自分がイラついてしまうことにもがっかりですが(笑)、それにしてもくんちゃんがお子ちゃますぎてモヤモヤしてしまいました。
細田監督はお子さんがいらっしゃるそうなので、くんちゃんのキャラクターは恐らくお子さんの子育てを参考に作られていると思うのですが、そのリアルさが仇となってしまいましたね。
そもそも幼少期の自分が大人しい性格だったので、あんな風に大暴れしたことが少なかったんですよね。
(反動でいま大暴れするようになってしまいましたが。(小声))
だからくんちゃんに共感できなくて、なんだこの坊やは・・・と引いてしまいました。
でもくんちゃんが周囲に諭されている時、ああ自分も自分のことを主張するだけじゃなくて、こうやってちゃんと周りのことも考えなきゃなあとちょっと反省しました。
引いてしまったで思い出しましたが、あの尻尾と蜂の巣ゲームのシーンもなかなか攻めてましたね。
え!?そこまで描いちゃう!?ってくらいギリギリアウトな演出の仕方もドキドキ。
なんで唐突にあんなマニアックなエロスをぶっこんだんだろう??
笑いのシーンに消化したかったんだろうか。
リサ
さて、タイトルにもなっているミライちゃん。
ミライちゃんは好きでも嫌いでもない、というか印象がない。
突然現れて、突然消える、みたいな。
なんでタイトルに入れたの?ってくらいパンチが弱いんですよね。
あとはミライちゃんがなぜ未来からやってきたのかがよくわからない。
くんちゃんが成長するために必要な存在なのはわかりますよ。
でもそれってこちらが考察していることで、どうしてミライちゃんが未来からやってきたのか作中でははっきり理由づけされていません。
だしっぱなしのおひなさまを片付けるのにも、特別な理由があるのかと思っていたら別に描かれないし、途中からぱったり出てこなくなって、かと思ったら突然クライマックスに説明役で再登場。
キーパーソンなはずなのに影が薄いんですよね・・・
ミライちゃん何しにきたの?ってなってしまって、これまたミライちゃんに共感できずじまいとなってしまうわけです。
両親もな〜、なんか冷たいんだよな。
子どもにそこまで興味がなさそうな感じ。
くんちゃんに対してもっと見守る姿勢をみせてほしいですよね。
新米のパパママにしたかったのかな?でももうくんちゃん4歳だよ?
リサ
唯一良かったのがやっぱりひいおじいちゃんかねえ。
まあ単純にかっこいいよね。自分の哲学しっかり持っているし。
あとユッコもかわいかった。人間も犬も。
声優もバランスが大事だと思う
声優さん、今回は全体的に印象がないです。ごめんなさい。
ここ大事なんですけど、演技が下手なんじゃなくて、どの人も声に特徴がないんです。
特に女性陣。
みんな似たような声質の人が集まっちゃってて、なんか薄味・・・
一方で、役所 広司さんや福山 雅治さんのような声に特徴のある方のキャラクターはやっぱり印象に残るし、魅力を感じますよね。
アニメ作品でいわゆる芸能人の方が声優に起用されることで、毎度議論が勃発しますが、私は芸能人の方も声優メインの方もバランスよく配置して欲しいんですよ。
例えば先日観た『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』って、ゲスト声優さんたくさんいたんですけど、それに負けず実力派の声優さんも同じくらい配置されていました。
声優さんの演技ってやっぱり印象に残りますし、キャラクターや作品の世界観が一気に広がりますよね。
彼らの演技をそばでみて、ゲスト声優さんたちの演技が良くなることだってあるでしょうし。
どちらかがかたよってしまうと浮いてしまうだろうから、凹凸をバランスよく置くことで、お互いのメリットとデメリットを補い合って欲しいですね。
リサ
それでも映像は素晴らしい
もちろん、よかったところもあったんですよ!
やっぱり映像、アニメーションはすごい!さすがの実力です。
細田さんはキャラクターの躍動感を描くのがものすごくうまい。
動いている姿だけでなく、表情の静と動がはっきりしていて、生き生きとして見えるんですよね。
くんちゃんの動き一つ一つが4歳の男の子でかわいらしい。
特に今回すごかったのが、犬になったくんちゃんが中庭を駆け回るシーン。
もうね、本物の犬の動きを完全にトレースして、かつ、アップデートしているんです。
犬の予測できない動きが細かく描かれていて、力入っているな〜と脱帽。
『おおかみこどもの雨と雪』よりもヌルヌル動いていました。
リサ
CGともうまく融合していましたね。
予告でもよく作り込んでいるな〜と思いましたが、未来の(?)東京駅の描写は圧巻。
奥行きをたっぷり感じる背景の書き込みもさすがといったところ。
クライマックスのめちゃくちゃ展開はおいておいて、時代がどんどん進んでいく演出はスピード感と迫力があって引き込まれました。
総評
評価
良かった点
- アニメーションと演出が圧倒的
前作の『バケモノの子』でも感じましたが、やはりアニメーションとCGの映像と演出は他のアニメ映画とは群を抜いてよく作り込まれています。
悪かった点
- ストーリーがめちゃくちゃ
- キャラクターがイマイチ
- 設定にツッコミどころが多い
それ映画としてどうなのって感じですが・・・(笑)
まとめ
よくよく思い返すと、ほんとうに細田監督の集大成でしたね。
ああこの演出は『時をかける少女』だな、とか、これおもいっきし『おおかみこどもの雨と雪』じゃん!と思い出したり。
脚本のはちゃめちゃっぷりがどうしても気になってしまいましたが、映像は過去の細田作品の中でもトップレベルのクオリティで、すごいなあと勉強になる描写や演出もたくさんありました。
細田監督の作品を観てきた方はぜひこの作品も観て欲しいです。
過去の作品たちに一区切りをつけた細田監督の次回作が楽しみですね!
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