今年こそは邦画をたくさん観るぞ!と毎年目標にするのですが、結局話題作しかチェックしなくて、毎年同じ目標を掲げている気がします。
そんな数少ない邦画の鑑賞作品の中でも、実は東野 圭吾原作の作品を観ていることが多いんですよね。
『手紙』、『容疑者Xの献身』、『白夜行』、最近だと『天空の蜂』、『疾風ロンド』、『ラプラスの魔女』などなど。
やっぱり東野 圭吾の作品って、予告を観るだけで興味を惹くものが多いんですよ。
たった2分ちょっとの予告で、おもしろそうな話だな〜観てみようかな、という気持ちにさせるのはさすがですね。
というわけで、東野 圭吾原作の『マスカレード・ホテル』を鑑賞してきました!
マスカレード・ホテル
監督 | 鈴木 雅之 |
---|---|
脚本 | 岡田 道尚 |
出演者 | 木村 拓哉 長澤 まさみ 小日向 文世 梶原 善 泉澤 祐希 東根 作寿英 石川 恋 濱田 岳 前田 敦子 笹野 高史 髙嶋 政宏 菜々緒 生瀬 勝久 宇梶 剛士 橋本 マナミ 田口 浩正 勝地 涼 松 たか子 鶴見 辰吾 篠井 英介 石橋 凌 渡部 篤郎 |
公開 | 2018年 |
製作国 | 日本 |
あらすじ
都内で起こった3件の殺人事件。
すべての事件現場に残された不可解な数字の羅列から、事件は予告連続殺人として捜査が開始された。
警視庁捜査一課のエリート刑事・新田浩介(木村 拓哉)はその数字が次の犯行場所を示していることを解読し、ホテル・コルテシア東京が4番目の犯行場所であることを突きとめる。
しかし犯人への手掛かりは一切不明。そこで警察はコルテシア東京での潜入捜査を決断し、新田がホテルのフロントクラークとして犯人を追うこととなる。
そして、彼の教育係に任命されたのは、コルテシア東京の優秀なフロントクラーク・山岸尚美(長澤 まさみ)。次々と現れる素性の知れない宿泊客たちを前に、刑事として「犯人逮捕を第一優先」に掲げ、利用客の“仮面”を剥がそうとする新田と、ホテルマンとして「お客様の安全が第一優先」のポリシーから、利用客の“仮面”を守ろうとする尚美はまさに水と油。
お互いの立場の違いから幾度となく衝突する新田と尚美だったが、潜入捜査を進める中で、共にプロとしての価値観を理解しあうようになっていき、二人の間には次第に不思議な信頼関係が芽生えていく。そんな中、事件は急展開を迎える。追い込まれていく警察とホテル。
果たして、仮面(マスカレード)を被った犯人の正体とは・・・(公式サイトより)
2011年に刊行された、東野 圭吾の同名小説が原作のミステリー映画。
監督は、演出家として数々のドラマを手がけ、『HERO』、『プリンセス トヨトミ』、『本能寺ホテル』などの映画作品の監督も務めた、鈴木 雅之が担当。
主演は数え切れないほどのドラマ・映画に出演しつづけ、あらゆる役を演じてきた木村 拓哉。
共演には、長澤 まさみや小日向 文世、渡部 篤郎など、他にもドラマや映画で活躍する豪華な共演者が集いました。
ミステリーよりも人間ドラマ強め
ホテルを舞台に、宿泊客として現れる人々の群像劇と、危険な殺人事件が複雑に絡まりあう、物語としてとてもよくできた作品でした。
上映時間が2時間25分とやや長めだったので、途中で飽きないか心配になりましたが、そんなこともなく。
わりと登場人物の人物描写が長くて、中盤あたりでそろそろ事件の進展がないのかなと、集中力が切れそうになった部分もありましたが、その瞬間以外はストーリー展開のテンポも良くて作品に集中できました。
東野 圭吾原作の作品を観ると、彼は本当に人物描写のドラマティックな面とミステリーを絡めるのがうまいと感じます!
リサ
群像劇×ミステリー
連続殺人犯を逮捕するために、ホテルのフロントスタッフとして潜入した刑事と、フロントスタッフとして働くホテルウーマンがコンビを組み繰り広げられる、人間ドラマとミステリー。
事件の捜査が少しずつ進んでいく中で、ホテルにやってくる様々な宿泊客にまつわる物語も同時進行で繰り広げられます。
一見、全く関係がないようにみえる宿泊客たちのストーリーが、少しずつ事件へとつながりを持たせていて、やがて最後に1つの終着点にたどり着く構成は、さすが東野 圭吾。見事です。
東野 圭吾原作の作品は人間ドラマや人物描写に胸を打たれるものが多いですし、それが彼の作品の特徴の1つでもありますね。
単なるミステリーにとどまらず、観る人に必ず何かしらのテーマやメッセージを残してくれるので、映画にしやすいのかもしれません。
一方で、ミステリー好きからしたらドラマチックな要素が多く、物足りないと感じる面はあるかもしれませんね。
今回は二転三転する複雑な犯行手口で、ミステリー初心者の私には見応えがありましたが、犯人の動機は至ってシンプルでした。
リサ
全体的に楽しんで観ていたのですが、最後の10分くらいはマジで蛇足だったのではないか、と思います(笑)
正直私の中で、あれで作品への評価がガックリ下がりました。
いやいや新田がお辞儀して去っていくシーンで終わりにしたらいいじゃん?そのままホテルの全景になれば綺麗に終わったじゃん??
急にドラマの最終回みたいになって、チープに感じられてしまって残念でした。
コンビの関係性にも注目
本作では、潜入する刑事の新田と、ホテルの顔でもあるフロントスタッフの山岸のコンビが物語を進めていきます。
ホテルの客の仮面を剥がそうとする新田と、仮面を守ろうとする山岸の2人の仕事への価値観の違いが、作品をより盛り上げています。
リサ
新田も山岸も仕事のプロ。
だからこそ、初めは互いの仕事に対するプライドがぶつかり合いますが、徐々にお互いの仕事への姿勢を認め合い、尊敬するようになります。
フロントスタッフとして潜入しているのに、どこかやる気のなさが漂っていたり、ホテルの客に対して睨みを利かせて、刑事全開だった新田。
そんな新田に、あくまでホテルスタッフとして教育を続ける山岸の姿勢に、ホテルで働くものとしての姿勢や情熱を感じられてよかったですね。
ホテルで働く人の裏側がみれて、ちょっとした職業体験のようなこともできましたし。
ホテルに限らず、接客業に携わる方というのはみなさん気遣いのある方が多くて、尊敬しますね。
リサ
全キャストの演技に魅了される
豪華キャストの熱演も、本作の見どころ。
キムタクは安定のキムタクでしたが、わりとキムタクっぽさの薄いキャラクターだったように思います。
最初は髭面にもっさりした髪型だったのが、ホテルに潜入捜査をするというので身なりを整えるのですが(ポスターみたいな格好)、そのギャップに思わずグッときてしまいました(笑)
小汚い刑事から清潔感100%のフロントスタッフに変身したシーンは、キムタクファンではない私もかっこいいじゃん〜と思うほど。
キムタクのバディを組んだ長澤まさみもよかったですね。
ちょっと滑舌とか歩き方にやりすぎなところもありましたが、彼女も色々な役を演じられますよね。
脇役のキャストも全員いい味出してます。
脇役と言っていいのかというくらい豪華でしたが・・・
中でも松 たか子の演技はすごかった!
完全にしてやられました。
どうみても老婆にしかみえなかった・・・
リサ
ホテル業界の裏側も体験
ミステリー作品なのに、ホテル業界の裏側も垣間見えるというのはなかなか興味深かったです。
ホテルはどのエリアも表向き華やかにみえますが、裏ではがやがやドタバタしてるもんなんでしょうね。
ホテル業界ではない接客業に携わっていましたが、やっぱり裏ではドタバタしてましたよ。カモのように。
リアルな面を見せようという心意気は感じられたものの、ドラマチックな要素が強いなと感じる部分もありましたね。
物語の舞台がロビーなので、ロビーは常に人でごった返しているのですが、そんなことあるかな?と。
まあ地元の大きいホテルとかは宿泊目的以外(食事とかビジネスとか)で訪れている方も多いような気がするけど、それにしてもあんなに賑やかかな〜とは思いますね。
あとは宿泊客のトラブルで、他の宿泊客が長時間注目することってないんじゃないかな〜
新田と過去に因縁のあったキャラクターが登場したときも、ちょっとロビーで騒ぎになるのですが、あんなに周囲の人間が集まるものか違和感がありますね。
私だったら、さっとその場から立ち去りますね〜
対応しているホテルスタッフ以外のスタッフは、やりとりをみてないで他のお客さんたちへの対応をするべきなのではないのかな(笑)
ラストの10分がえらいドラマチックになったインパクトの方が大きかったですが、劇中ではちょこちょこリアルさに欠ける部分もありました。
あと、会話中に時々生まれる変な「間」が気になりました。『HERO』っぽかったですね。
リサ
総評
評価
良かった点
- 群像劇とミステリーのバランス
たっぷりと人間ドラマを描きながらも、それが事件にうまく関わってくる伏線の描き方がおもしろかったです。
悪かった点
- ミステリー要素が弱い
事件自体は複雑なのですが、それがイマイチわかりにくかったり、犯人の動機はあっさりしていたりと、人間ドラマが濃い分、ミステリーの部分が薄かったかなとは思います。
これは東野 圭吾の作風も影響しているかもしれませんね。
まとめ
人間ドラマとミステリーがうまく絡み合い、物語としておもしろく仕上がっています。
東野 圭吾の物語を作る力にも魅了されますし、原作の世界をうまく2時間ちょっとにまとめて映像化した監督にも賞賛を送りたいです。
ややドラマチックに感じる演出もありましたが、あくまでフィクションと思えば、まあそこまで気にはならないですね。
集英社 (2014-07-18)
売り上げランキング: 25
コメントを残す