音楽の情熱と狂気のつまった作品。最後のシーンは心を奪われるほど素晴らしい!『セッション』

2016年の年末から映画界を賑わせている『ラ・ラ・ランド』が、もうすぐ日本でも公開ということで、『ラ・ラ・ランド』の監督を務めるデミアン・チャゼルの名作『セッション』を観ました!



セッション(Whiplash)


監督デミアン・チャゼル
脚本デミアン・チャゼル
出演者マイルズ・テラー
J・K・シモンズ
公開2014年
製作国アメリカ合衆国


あらすじ



名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。
ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。
だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。
浴びせられる罵声、仕掛けられる罠・・・
ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。
恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。しかし・・・(公式サイトより)


2014年に公開された映画。
監督はデミアン・チャゼル。本作は監督として2作品目に当たる。
『ラ・ラ・ランド』の監督も務めており、今注目の監督ですね。

『セッション』は第87回アカデミー賞において、助演男優賞編集賞録音賞の3部門を受賞。

何かの頂点に立つって、こういうことだ


終始圧倒される。
勢いと力のある、情熱が爆発したような映画ですね。
最後のセッションは本当にすごかった。息が止まるくらい。

私は中学時代、吹奏楽部に属していたのですが、フレッチャーがその時の顧問そっくりの人間で、なんだかソワソワしてしまいました。
なんだか、昔のことを思い出してみていられなくなる(笑)
異常に感情移入してしまって、心がえぐられているような気分になりました。

有名になりたい、プロになりたい。ただ何となくぼんやり思っているだけではダメだということをこの映画では思い知らされます。
自分の目指す業界でトップになるには、血の滲むような努力が必要だということをまざまざとみせつけられました。
うう、フラフラしている自分には耳の痛い話だ・・・
自分にはできないなと思いつつも、どこかで羨望のようなものが沸き起こりますね。
あんな風に自分の人生や精神をむりやり揺さぶって、才能を引きずり出してくるような人と出会ってみたいものです。

バンドとかジャズとか詳しくありませんが、音楽が好きなので、耳は楽しかったです。
精神はヒリヒリしますが(笑)

夢を追い続ける現実を写し出している


名門音楽大学に入学を果たした青年・アンドリューが、とある名指導員・フレッチャーのバンドに誘われる。
青年は自分の将来は約束された!と内心ほくそえむのですが、それは地獄の始まりだった。
このフレッチャーという男の指導方法は、大変危険で、狂気に満ちたものだった。
怒鳴る、罵声は浴びせる、平気で汚い言葉を吐く、人をけなす、椅子や楽器を平気で投げる。

しかし彼の心はどんどんフレッチャーの言葉に取り込まれ、次第にバンドの主席の座に執心していく。
自分から声をかけたガールフレンドと別れ、時間、体力、精神、全てをドラムに注ぎ込んでいくアンドリュー。
いよいよ何かが壊れたアンドリューは、怪我をしているにもかかわらず演奏会に参加し、そして大失態を晒してしまう。

ぼんやりなんとなくやっているのではダメだ、確固たる意志を持って自分の人生を生きていくべきだ、と気付かされます。
そのために努力し続ける。練習し続ける。
私は、そんなの頭ではわかっていても、実際に実行に移すことが難しいんだい!と思いつつも、アンドリューが寝る間も惜しんで、手を血だらけにしてドラムの練習に打ち込んでいる姿をみてチクチクと針で刺されているような気分になりました。
音楽に限らず、何事も極めるための姿勢や精神といったものが描かれています。

物語の全ては、最後のアンドリューとフレッチャーのシーンへと繋がっていきます。
あのシーンは本当に言葉に表せないほど素晴らしかった。
情熱と、執念、夢、絶望、努力、才能、アンドリューがフレッチャーと出会い、抱いた全ての感情と思いが彼の打つドラムに込められている。
フリッチャーの狂気に取り込まれたアンドリューは、フレッチャーを超えた狂気でもって、彼と対峙した激情的なシーンです。

音楽しかない男と男のぶつかり合い


彼らには、音楽しかないのです。
他の道を探すことはできない。
そんなアンドリューとフレッチャーの情熱と狂気のぶつかり合いがこの映画の見所。

アンドリューは精神が蝕まれて頭がおかしくなるような描写がされていますが、フレッチャーの暴力的な指導で本来のアンドリューが持つ欲や才能を引きずり出されたのです。
そしてズタボロにされて、それでも最後に残ったアンドリューの欲望と夢と才能が、最後のフレッチャーとのセッションのシーンで全て表現されているんだと思います。
ようは、フレッチャーと同様、もしくはそれ以上にアンドリューはイかれたやつだった。

音楽を愛している描写がないのも、面白いポイントですよね。
フレッチャーがアンドリューに「音楽をやる理由は?」という問いに、アンドリューは「音楽をやる理由がある」とだけ答えるシーンがあります。
この映画では音楽というのは問題提起の題材の一つにしか過ぎなくて、才能とはなんなのか、流されるだけでなく考えを持って生きているのか、ということを描いているようです。

J・K・シモンズのの圧倒的な存在感


主演のマイルズ・テラーを食うんじゃないかというくらい、J・K・シモンズの存在感はすごかったですね〜

本作にて彼はアカデミー賞助演男優賞を受賞しています。
納得ですね。
それほど彼の苛烈さたっぷりの演技は圧倒的でした。
ただ怒鳴るだけではなく、必ず言葉の一つ一つに理由が込められていて、意味を持った話し方にこちらも彼の発するセリフ全てを咀嚼しようと精神を集中させてしまいます。
そのくらい惹きつけられるものがあった。

最後のアンドリューとのセッションでの表情も良かったですね。
アンドリューのドラムにフレッチャーの心も動かされて、音楽を楽しんでいるような笑顔になったり、アンドリューと2人で向き合って演奏をしたり。
そこに流れるのはドラムの音だけで、一切セリフがないのもとても印象的でした。

J・K・シモンズって絶対どこかで見たことあるよな〜と思っていたら、サム・ライミ版の『スパイダーマンシリーズ』編集長役の人だったんですね!
彼のディスコグラフィーをみてようやく合致しました。
近年ですと、ベン・アフレック主演の『ザ・コンサルタント』のお父さん役を務めていました。
この役は落ち着いた威厳のある軍人の役どころだったので、あまりのギャップに驚きです。

音楽に合わせた映像演出


舞台は音楽院というだけあって、劇中はたくさんの音楽で溢れています。
曲に合わせてカットを切り替える演出が多く、子気味いいテンポが心地よいです。
画面の色彩が全体的に暗く、憂鬱な雰囲気を感じるのですが、それはアンドリューの精神を体現化しているのでしょうか。

ジャズバンドの話ということで、曲中はたくさんの演奏シーンがあるのですが、なんだか不思議に感じて聞いていました。
なぜかというと、私が認識しているジャズと『セッション』で流れるジャズは違う音楽に感じたからです。
ジャズというのはもっと、感情に任せた、直情的で流れるような音楽だと思っていますが、『セッション』ではフレッチャーは、ピッチやテンポに完璧を求めています。
寸分の狂いすら許さないといった具合。
ジャズに詳しいわけではないのでそういった点に深く突っ込めないのが残念ですが、おそらくジャズ音楽を趣味や生業にしている人がこの映画を見たらまた違った視点の感想を抱くのでしょうね。

良かった点


・ストーリー展開がテンポいい
・ラストのアンドリューとフレッチャーのセッション
・J・K・シモンズの演技


あのシーンに全てが詰まっている。
劇中にアンドリューに感情移入すると、なおさら最後のシーンはみていてなにか一仕事やり遂げたような達成感に包まれます。

悪かった点


・特になし

ここが悪い、と感じた部分はなかったですね。

まとめ


人間が持つ様々な感情をむき出しにした映画です。
紡ぎ出される台詞はどれも重みがあって、なんだか自分の人生を見つめ直したくなりました。

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