冷戦下に現れた稀代のチェス王者。気づけば彼の人生に引き込まれる『完全なるチェックメイト』

青山シアターの「オンライン試写会」に当選し、公開前に見ることができました!
配信期間ならいつでもどこでも見れる、新しい試写会のシステム。
動画配信は当たり前の時代になりましたが、試写会もあるとは思わなかった〜。

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あらすじ



米ソ冷戦時代。1972年にアイスランドのレイキャビクで開催されたチェスの世界王者決定戦は、両国の威信をかけた‘知’の代理戦争として世界中の注目を集めていた。
タイトルを34年間保持してきたソ連への挑戦権を獲得したのは、アメリカの若きチェスプレイヤー、ボビー・フィッシャー。IQ187を誇る天才で15歳にして最年少グランドマスターとなった輝かしい経歴の持ち主だが、その思考は突飛で、行動は制御不能。謙虚さのカケラもない自信家で、自分の主張が通らないと大事なゲームすら放棄する。
そんな奇行の天才が相対するのは、最強の王者、ソ連のボリス・スパスキー。対局一局目、スパスキーに完敗するフィッシャー。
残り二十三局、絶対不利と見られたフィッシャーは極限状態の中、常軌を逸した戦略をうちたてる―。
二大国家の大統領もフィクサーとして影で動いたと言われる、歴史を揺るがす世紀の一戦。そこで放たれた今なお語り継がれる<神の一手>の真実が明かされる─!(青山シアターより)


天才チェスプレイヤーの一生を描いた伝記。
冷戦下はスポーツですら国の戦いに使われていたという、なんとも悲運な時代です。

奇しくも前回の記事の「コードネームU.N.C.L.E.」と同じ冷戦時代のお話だったので、時代背景などはとっつきやすかったです。
60〜70年代の映画って国にいいように利用されて不遇な人生を送るというようなお話が多いイメージ。
もう一度冷戦下の世界情勢について勉強しようかな。

感想


仄暗く、ずっしりくる映画。

チェスの技術や戦いよりも、冷戦下の時代背景と主人公のボビーの人生にフォーカスをおいたお話でした。
チェスが好きだから見てみよう、という気持ちで見るとちょっとがっかりするかも。

ボビーの天才ゆえに突飛な行動をとったり、突然癇癪を起こしたりと苦悩する姿も印象に残ります。
見事チャンピオンになっても彼は周囲に追われ続け、平穏と静寂は求められず、また頂点に立つものにしかわからない孤独に苛まれていきます。
そんな姿は見ていて辛かったです。

チェスがわからなくても大丈夫・・・!


上記でチェス目当てで見るとがっかりする、と書きましたが、逆に言えば、チェスがわからなくても映画自体は楽しめます
序盤は盤上に駒の動きを矢印で表現してくれるシーンもありました。

ただソ連の王者ボリス・スパスキーとの頂上決戦では、もうちょっとチェスの盤上をしっかり写してくれたらよかったのに。
心理戦のような表現の仕方だったので、チェスの動きがもっと見たかったな。
最後の一手は手元がよく見えないのは惜しい!演者二人の表情がとても良かっただけに・・・。

時々口頭でチェスをやりあうシーンもあるので、駒の名前くらいは知っていると楽しいかも。

天才と変人は紙一重ってね


チェスに関しては右に出る者はいないのでしょうが、人間としてはなかなか社会に馴染みにくいタイプですね彼は。
試合前の約束が守られていないと試合を放棄して突然帰ってしまったり、尾行されていると勘違いして当たり散らしたり。

そんな難しい役どころをトビー・マグワイアが熱演しています。
狂気的で、でもどこか幼い子供のような稚拙な部分もある。
スパスキーに勝利した時のどこかあどけない表情も良かったし、ラストシーンでの立ち姿も哀愁が漂っていて良かったですね。

でもボビーのような人間、ちょっぴり憧れます。
何を考えているのかわからない人の頭の中ってどうなっているのか覗いてみたい。
彼の天才的な頭脳とそれに比例した生き様にはどこか惹かれるものがあるのかもしれません。

こぼれ話


ボビーは実は日本に滞在していた


チェスを引退した後、いろいろな場所を転々としながら暮らしていたそうですが、2000年ごろは、元日本女子チェスチャンピオンで日本チェス協会事務局長の渡井美代子氏と共に暮らしていて、事実婚状態だったのだそうです。

将棋の天才も敬愛


日本の将棋界だけでなく世間でその名を知らない人はいない、羽生善治氏も彼のことを尊敬しているそうです。
2004年に、日本から出国する際に入国管理法違反の疑いでフィッシャー氏が身柄を拘束された際には、多くの人々が彼を救うため尽力したそうですが、羽生氏も、当時の首相でもあった小泉元総理に彼を自由にして欲しいと訴えたのだそうです。

意外と日本になじみのあるフィッシャー氏。ほんの10年前の話でびっくりしました。
全然知らなかった・・・。

まとめ


実際にいた人間の人生を映画化した作品は多いですが、これも良作です。
冷戦という見えない争いに翻弄されながらも、自身の生き方を貫いた一人の天才の姿を見て欲しいです。

昔よくパソコンに入っていたチェスのゲームをやっていたなあとふと思いだして、もう一度やってみたくなりました。
早速遊んでこよう。

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