一匹狼がギャングとして夜に堕ちていく。1920年代のボストンの描写が細かに描かれている『夜に生きる』

先日ケイシー・アフレック主演の『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を鑑賞してきました。
石のように固くなった心がじんわり溶けていくような作品でしたね。

そして今回は、ケイシー・アフレックの兄であるベン・アフレックが主演・監督を務めた『夜に生きる』を観てきました!



夜に生きる(Live by Night)


監督ベン・アフレック
脚本ベン・アフレック
出演者ベン・アフレック
エル・ファニング
ブレンダン・グリーソン
シエナ・ミラー
ゾーイ・サルダナ
クリス・クーパー
公開2016年
製作国アメリカ合衆国


あらすじ



舞台は禁酒法時代のボストン。
野心と度胸さえあれば権力と金を手に入れられる狂騒の時代。
厳格な家庭に育ったジョーは、警察幹部である父に反発し、やがてギャングの世界に入りこんでいく。

ある日、対立組織のボスの恋人エマと出逢ったことでジョーの人生は激変する。
新天地タンパでは今までに出逢ったことのない優艶な女性グラシエラに惹かれ、成功を収め始めた矢先には地元警察本部長の純粋無垢な娘ロレッタが現れ、運命の歯車が狂いだす。
欲しいものをすべて手に入れるためには、ギャングとしてのし上がるしかない。

3人の女性との出逢いがもたらした愛と欲望、裏切りと復讐──そのすべてを手に入れ、すべてを叶えるために、"夜に生きる"と決意した男の極上のクライム・エンターテインメント!(公式サイトより)


1920年代のギャングの中をのし上がってきた1人の男の物語。
原作はデニス・ルヘインによる小説です。
デニス・ルヘインの作品といえば『ミスティック・リバー』や、『シャッター・アイランド』も有名ですね!

監督・主演を務めるのは、ベン・アフレック
2011年の『アルゴ』から実に6年ぶりの新作です。

ちなみに彼の初長編監督作は、デニス・ルヘインの『ゴーン・ベイビー・ゴーン』でもあります。

そして製作にはレオナルド・ディカプリオが参加しているという豪華っぷりです。

ギャングの世界ってのはいつでも虚しいね


ザ・ギャング映画でしたね!
ロマンティクで華やかな世界と、危険な世界が紙一重。
栄枯盛衰盛者必衰の世界がよく描かれていました。

主人公のジョーは、賢くて情のあるギャングでしたね。(いやシャレじゃないんです)
同情できない人間にはとことん冷たいですが、自分が少しでも情を持ってしまうと肩入れしてしまう優しい男。
ああいうキャラは最後にだいたい死んじゃうから、もしかして相棒に殺されてしまうオチかなと思っていましたが、そうではない辛いラストでしたね。
それでもエピローグのシーンは温かい気持ちになり、いい終わり方でした。

1920年代のアメリカ・ボストンの雰囲気もいいですね。
危険があちこちに散らばっている一方で、夜は華やかで派手な町。
ジョー達のスーツ姿もダブルの古いデザインでかっこよかった!

ベン・アフレックは『ザ・コンサルタント』ですが、相変わらず寡黙で渋いキャラクターが似合いますね〜

一匹狼がギャングの世界でのし上がる!


一匹狼の男が、愛と欲望と権力の渦巻くギャングの世界で生き抜いていく姿が描かれた本作。

戦争に出兵した辛さから、誰かに支配されて生きるのが嫌だった主人公のジョーは、どこにも属さずに単独で盗みをしながら生活していました。
そんなジョーが愛した女は、その地域では有名なマフィア、アルバート・ホワイトの情婦でした。
2人は遠くへ逃げようと画策しますが、ホワイトに2人の仲がバレてしまい、そこからジョーの人生は一気にどん底に落ちてしまいます。

誰かに支配されることを嫌っていたジョーは、ホワイトへの復讐のために、ホワイトと敵対していたディガー・ペスカトーレの仲間になります。
ボストンからタンパへ移り、彼は禁酒法時代の中酒の密造に着手し、徐々に頭角を現していきます。

世界観やストーリーは王道なギャング映画かと思いますが、ジョーの人間らしい柔らかく、弱い部分がうまく描かれたドラマティックな作品でしたね。

ジョーの父が言った「報いは必ず受けることになる」というセリフに詰められた、厳しいギャングの世界。
ラストはまさかの展開で驚きました。
なるほど彼はこういう形で報いを受けるのか、と心苦しくなりましたね。

そして自分にとっての天国を見つけたジョー。
夜に生きていたジョーは昼に生きるようになったんだね・・・

ギャングが嫌いなギャング


ジョーは賢く人情のある魅力的な男
乱暴ではないけど、強さがあって、頼りになる。
かっこいいんですよ〜
あんないい男が歩いていたら誰でもついて行きたくなりますよ!(笑)

人情深いジョーが、心に傷を抱えた人間に同情する一面を垣間見ることもできます。

禁酒法が解禁されたのを機に、ジョーはカジノを新たな商売としようとしますが、街の女性、ロレッタの反対にあいます。
周囲は彼女を殺せと言いましたが、ジョーはあっさりカジノ商売を諦め引き下がってしまいます。
彼女は辛い過去を背負っていました。

ギャングは嫌いだけど、復讐のためにギャングになる、という設定も面白いですね。
最終的に彼はギャングの頂点に立ちますが、相棒にボスの座を譲って自分は引退してしまいます。
ギャングの立場や権力は彼には何の意味も持たないのです。

渋い〜ベン・アフレック


渋い男が似合いますね〜ベン・アフレック
自分の中にルールがあって、芯の通った男らしい男を演じています。

冷徹なギャングではないので、時々にじませる感情的な演技がいいですね。
恋人に溺れる表情にうっとり・・・

無骨な感じのキャラクターですが、『ザ・コンサルタント』の無骨さとは全然違いますね!
こちらはもっと人間っぽい(笑)

脇を固める女優陣がまたすごく豪華。

ゾーイ・サルダナの妖艶さには見惚れます。
『アバター』、『スター・トレックシリーズ』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーシリーズ』でのイメージが強いので、素の彼女は初めてみたかも。
細くて美しかったです。

ジョーの最初の恋人を演じたシエナ・ミラーはラストの表情に全部持って行かれました。
あんな横顔ね〜ずるいよね。

そしてエル・ファニング
彼女の起伏のある演技に翻弄されました。
最初は純粋な乙女、そして深く傷ついてしまった女性。
ジョーとの最後の会話は彼女の目線や表情に、息苦しくなりゾッとさせられました。

1920年代の危険で華やかなアメリカ


1920年代から1930年代にかけてのアメリカ・ボストンの時代背景が緻密に作品に組み込まれています。
禁酒法、カジノ、アイルランド系移民とイタリア系移民の抗争、KKK、ハリウッドの闇・・・
本作はこれらの時代背景を知っておく必要はないと思いますが、少し下調べしてから観るとより作品の世界観を楽しむことができるかもしれません。

時代は少し後ですが、1980年代のボストンのマフィアたちの抗争を描いた実話物語の『ブラック・スキャンダル』という作品もありますね。
ボストンはいつでも荒れ狂ってますね(笑)
主演はジョニー・デップですよ!

劇中ではギャング同士の激しい銃撃戦も繰り広げられています。
敵が銃で撃たれるシーンは容赦なく頭をブチ抜くので、ギョッとします(笑)

そんなギャングの時代背景にも惹かれますが、1920〜30年代のアメリカを再現しているセットもいいですね。
全体的に白、ベージュ、ブラウンを基調とした画面で、当時の光と闇の入り混じったボストンを表現しています。

美しいスーツやドレスにも注目です。
昔の外国人の洋服って、なんかいいですよね。
その時代に生きていたわけじゃないのにノスタルジックなものを感じます。

良かった点


・1920年代のアメリカ・ボストン、ギャングの世界を忠実に再現
・ベン・アフレックが渋い


この時代の世界観を忠実に、丁寧に描写していると思います。

悪かった点


・展開が読める

今までのギャング映画を観ていると、どうしても次の展開がこうなるのかなと予想しやすくなってしまうんですよね。
ラストはさすがに予想できませんでしたが・・・

まとめ


全体的なストーリーは王道的なギャング映画でしたが、主人公に人情味があり、彼の生き様や考え方に胸が打たれる作品です。
1920年代のボストンの雰囲気も、その時代に引き込まれるようによく作られています。

ベン・アフレック監督、次回作も楽しみです!

夜に生きる
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