20年前の作品とは思えない今めかしい世界観。音響や演出にも注目『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』

ずっと大好きだった『攻殻機動隊シリーズ』
ついにハリウッド版の『GHOST IN THE SHELL』が公開間近ということで、久しぶりに日本の劇場版『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』を見返してみました!



GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0


監督押井守
脚本伊藤和典
出演者田中敦子
大塚明夫
山寺宏一
仲野裕
大木民夫
玄田哲章
小林勝也
榊原良子
公開2008年
製作国日本


あらすじ



西暦2029年。
情報化社会はより進化を遂げ、人々は自身の脳みそ「電脳化」し、自身をネットワークと直接的に関連付けた中で生きる世界が当たり前になっていた。
そんな中「人形使い」と呼ばれる天才的なハッカーが、世界中のありとあらゆるところで犯罪を犯していた。
「人形使い」の手は日本にも及び、政府の非公開組織である「公安9課」もその存在を追っていた。

「人形使い」の尻尾をつかみ始めた公安9課。
その存在に近づくにつれ、主人公の草薙素子は、己の自我に対して疑問を持つようになり始める。
あらゆる陰謀が露見し始める中、ついに人形使いが公安9課の前に現れた。


『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』は、1996年に公開された『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』を大幅にリメイクした作品。
原作は士郎正宗氏の漫画、『攻殻機動隊』

監督は『機動警察パトレイバーシリーズ』などで知られる、押井守氏。
本作と続編にあたる『イノセンス』は彼の代表作の一つでもある。

まるで未来を知っていたかのような世界観


この作品の世界観がすごく好きです。
科学技術の躍進によって、「電脳化」「義体化」が当たり前となった近未来的な設定にワクワクしますね。

世界はより高度な進化を遂げたのに、なぜだか鬱屈とした退廃的な雰囲気を感じる世の中にも惹かれます。
ネット社会の発達によって、行き着く先まで来てしまったような。

『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』は元々リメイク版であり、最初に劇場公開された『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』は1996年に公開されたものでした。
ですが、今みても全く古臭さを感じない近未来的な世界観に驚きます。
まるで現代の高度化した情報社会の有様を知っていたかのようです。

哲学的で複雑なストーリーも『攻殻機動隊シリーズ』の魅力ですが、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』は、そこまで難解なストーリーではないと思います。
本編も1時間ちょっとと、近年のアニメ作品に比べたらだいぶ短い上映時間となっています。

そして、主人公である草薙素子のチート具合、憧れですね。
「公安9課」のメンバーも皆個性的でかっこいいです。

ストーリーもキャラクターも私好みのポイントばかりで、一気にシリーズにハマっていきました。

『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』の原作は士郎正宗氏の漫画、『攻殻機動隊』
原作漫画の初版はなんと1991年
漫画のコマの外には、本編に関するたくさんの解説・補足が書き加えられているのですが、その内容が現代にも通じる設定や内容で、驚くばかりです。
改めてこの作品が最初に世の中に現れたのが1990年代だとは、信じられないですね。

自我が肉体を離れネットワークの中で生きていても、それは自分だと言えるのか?


2029年の世界が舞台。
核戦争の終結によって科学技術が進歩し、ネットワークを中心として社会は成立する世の中になっていた。
そのため、高度で難儀な事件や騒動も多発しており、そういったものに対処するため秘密裏の組織として「公安9課」は存在していた。
公安9課に所属する主人公の草薙素子は、脳を電脳化し、全身義体を施した優秀な9課の一員。

世界で騒動を巻き起こしている「人形使い」と呼ばれる凄腕のハッカーが、日本でもその猛威を振るっていた。
公安9課は人形使いを捉えるために、任務に出る。
人形使いを追ううちに、素子は「本当は自分が自分だと認識している自我は、オリジナルではなく誰かによって作り上げられたコピーなのではないか」と疑問を抱き始める。

人形使いの正体に辿り着き、対峙した時、人形使いの真意が明かされる。
そして素子は、ある提案を受ける。

ネットワークという存在があたりまえのものになり、政治・経済、さらには人々の生活にまで大いに浸透してきた世界で、「自分自身」とはなにかを問う作品。
オリジナル版が公開されたのは1996年だというのに、今の時代にでも十分通ずるテーマ性というのがすごいですね。

『攻殻機動隊シリーズ』はストーリーが複雑で難解なことが多く、何度か見返さないとストーリーを全て理解することが難しい作品が多いのですが、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』は比較的わかりやすい内容だと思います。
特にネット社会が発達した今だからこそ、より本作の世界観は理解しやすくなっているのではないかと思います。

やっぱり少佐がナンバーワン!


世界観が大いに評価されるだけでなく、作品に登場するキャラクターたちやその関係性も大変人気がありますよね。

「公安9課」は一般には公開されておらず、いわゆる、政府が公にできない・したくない汚れ仕事を請け負う組織。
荒巻という部長がおり、その下にリーダーである草薙素子に加え、バトートグサイシカワというメンバーがいる。
別のシリーズでは、もっとメンバーがいるのですが、本作では主にこの5人が登場しています。

バトーやトグサも人気ですが、やっぱり主人公の草薙素子がずば抜けて好きですね。
彼女かっこよすぎじゃないですか??
電脳化に加え全身義体を施した彼女は、高い戦闘能力と賢い頭脳で次々と起こる事件を解決していきます。

元々戦場で活躍しており、9課にはその当時からの仲間がいるため、彼女は基本「少佐」と呼ばれています。
少佐を素子と呼ぶのは(というか呼べるのは)、バトーくらいですね。

バトーとの微妙な感じの関係もいいですよね(笑)
彼だけに時々見せる、女性らしい、人間らしい一面も、大変魅力的です。
バトーのことだけはことさら信頼しているのかな。

セリフ回しのかっこよさ


『攻殻機動隊シリーズ』は、まとめサイトがあるほど、思わず「クーッ!!」といってしまいたくなるようなかっこいいセリフが多々あります。
『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』も、かっこいい台詞のオンパレード。
中でも特にかっこいいセリフを、いくつか紹介します。

「そう囁くのよ、私のゴーストが。(草薙素子)」

これはもうシリーズのファンなら知らない人はいない、素子の決めゼリフですね!
『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』では、本編の序盤でサラリと言うのですが、かっこいい。

「ネットは広大だわ。(草薙素子)」

こちらもシリーズでは有名な素子のセリフですね。
まさに映画のラストを象徴する一言。

「戦闘単位として、どんなに優秀でも同じ規格品で構成されたシステムは、どこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人間も同じ。特殊化の果てにあるのは、ゆるやかな死・・・それだけよ。(草薙素子)」

公安9課のメンバーであるトグサは、元刑事で、妻子持ち。
脳みそは全てを電脳化せず、肉体も義体化せずほとんど生身という、シリーズの登場人物の中では異色なキャラクター。
そんな自分をなぜ引き抜いたのか、トグサが素子に聞いた時の彼女の返答です。

ううん、今の世の中でも十分通じる、なかなか胸にチクッとくるセリフですね。

「俺はマテバが好きなの!(トグサ)」

そんな人間味あるトグサの、こだわりが垣間見えるセリフです。

マテバとは、リボルバー式の銃。
貫通力の高さや装填ロスからあまり犯人の生活には向かないので、しばしばメンバーには小馬鹿にされることがあるが、彼はそれでもマテバを愛用し続けている。
トグサが、メンバーの中でも人間らしく、感情的なキャラクターであることを描写しているのではないでしょうか。

「疑似体験も夢も、存在する情報は全て現実であり、そして幻なんだ。(バトー)」

バトーは続編の『イノセンス』の方がグッとくるセリフが多いですね。
これは演出も凝ってて、このセリフを言っている時に映し出されるのはバトーではなく、素子の横顔と、その横顔が反射している窓なんですよね。
監督やりおるなあ、と思うシーンと台詞の1つです。

こうした名言は、『攻殻機動隊シリーズ』において似たようなセリフが共通して使われることがあります。
素子が颯爽と現れて、「じゃあ、死になさい!」と敵を射止めたり、トグサのマテバに対するこだわり、バトーの素子を思った叫び(笑)などなど・・・
シリーズを全てみると、ファンには思わず嬉しくなるようなセリフ回しがいくつも現れますよ。

声優陣は実力派で固めたキャスティング


キャラクターたちを担当する声優も豪華で上手い人ばかり。

主人公の草薙素子役には田中敦子氏。
バトー役は大塚昭夫氏。
そしてトグサ役には山寺宏一氏。
本作の人形使いには、榊原良子氏。

どの方も、一度は聞いたことのある、第一線で活躍しているプロの方ばかりですね〜!
脇役も見知った声優さんの名前ばかりで、驚きました・・・

素子のキャラクターなのですが、第一声を聞いた瞬間、想像していたより人間味のある声だなと思いました。
1996年版は、もっと機械的で冷たい感じの声色だったし、TVアニメ版の『攻殻機動隊 S.A.C』ではもっと艶のあるアニメキャラっぽい声だったので、田中さんは作品ごとにイメージして演技を変えているんでしょうね。

どの声優さんも、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』では、映画の吹き替えのような話し方に徹している印象を受けました。

セル画のよさと独特の間合いがたまらない


『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』は、本編にCGが新たに施されたのが推しなんですが、私はセル画の美しさに改めて気付かされました。
これはCG技術が発達したからこそ感じるよさかもしれませんね。

もちろん素子が光学迷彩で落ちていくシーンの処理とか綺麗なんですが、それよりもオープニングの素子が目覚めるシーンの美しさに見惚れてしまうんですよね〜
独特のコントラストの濃さや、はっきりした線画がセル画にしか出せないよさですね。
押井監督らしい町並みや、色合いが、『攻殻機動隊シリーズ』らしい世界観を助長させてくれます。

丁寧なカット描写独特の間合いも、心がゾワっとします。
例えば、バトーが車に乗って待機している時、きちんと窓ガラスに対向車の光が入り込むんですよね。
その光が入るだけで、バトーのいる場所がわかり、時間が流れていることを感じ、その緻密な演出に感心しました。

独特の間合いとは、セリフがなく、音楽だけでストーリーが進んでいくシーンが多々あるんです。
30秒から1分弱くらい、誰も喋らずに、ただ音楽だけが流れていて、その不気味な「間」が、作品の世界観をより確立させている気がします。
さらにその時に流れる音楽がアジアンテイストで、不気味さに拍車をかけているんですよね〜

1996年版との違い


2008年、押井守監督が『スカイ・クロラ』という新作アニメーションを公開したのを機に、1996年に公開された、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』のリメイク版として『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』の公開が決まりました。

このリメイク版の主な変更点として、

・本編にCGの使用
・エフェクト処理・インターフェースの変更
・シーンの変更、新たなシーンの追加
・声優陣による再アフレコ


の4つが挙げられます。

特に私がおっ!と思ったのが、音響技術
新たに、『スター・ウォーズシリーズ』や『トイストーリー』などの音響を手がける「スカイウォーカー・サウンド」にて制作され、6.1chサラウンドにリミックスされました。

より立体感のある音響が生まれ、没入感が高まります。
特に後半の、素子と装甲車の銃撃戦の迫力はすごいですね。

また1996年版では青っぽいインターフェースが、本作ではオレンジの強いインターフェースとなっていました。
これはおそらく2004年に公開された、『イノセンス』につながるようにリメイクされたのでしょう。

ストーリーには大きな変更点はありませんが、人形使いが男性から女性へと変更になっています。
プログラムに性別などないけれど、ここを変更し、外見上同じ性別同士で融合することによって、草薙素子というキャラクターを、「人間を超越した存在」としてより強く描き出されたのではないかなと思います。

どちらがオススメかと言われると、正直かなり迷いますね。
どちらにもよさがあるし、両方観て、その比較を楽しんで欲しいところです。

良かった点


・独特の世界観
・かっこいい主人公、魅力的な仲間たち
・セル画、間合いの演出


『攻殻機動隊』の世界観が抜群にいいんですよね〜
劇場版が公開された1996年から20年以上経った今でも十分楽しめる、むしろ近未来的に感じる設定やストーリーというのは本当に素晴らしいと思います。

今みるからこそ、セル画の良さが際立っていたなあと記憶に残っています。
映画だからこそつくれる間合いも、とても印象深かったですね。

悪かった点


・CGの演出が微妙

CGは要所要所で使われており、セル画との切り替わりが多かったので、違和感を感じました。
リメイクと言いつつも少し中途半端だったような。

同じセル画を活かしたリメイクですと、『エヴァンゲリヲン 新劇場版:序』の方がクオリティが高いですね。

まとめ


とても20年前の作品とは思えない、素晴らしいSFの世界観に引き込まれます。
今みても夢中になれる設定・ストーリー、そして魅力的なキャラクター。

音響の良さや、迫力ある作画や独特の演出にも注目です。

2017年4月7日より公開される、ハリウッド版『GHOST IN THE SHELL』と合わせてぜひご覧下さい。

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