生きることの価値を知る僕と彼女の物語。若手の役者陣の演技が光る『君の膵臓を食べたい』

映画が制作される前から原作の小説が話題になっていた『君の膵臓を食べたい』
予告や宣伝をみたときにあまり好みの作品ではないかな〜と思っていたんですよね。

というのもネット小説というのは『恋空』のようなイメージが勝手にあり、これもそういう若い女の子向けの作品なんじゃないかと倦厭していたんですよね。
あとは悲恋ものはラストの辛さに耐えられないというのもありますね(笑)

パスかな〜と思っていたのですが、ちょっと時間ができたのでせっかくだから鑑賞にいってきました!



君の膵臓を食べたい


監督月川翔
脚本吉田智子
出演者浜辺美波
北村匠海(DISH//)
大友花恋
矢本悠馬
桜田通
森下大地
上地雄輔
北川景子
小栗旬
公開2017年
製作国日本


あらすじ



高校時代のクラスメイト・山内桜良(浜辺美波)の言葉をきっかけに母校の教師となった【僕】(小栗旬)。
彼は、教え子と話すうちに、彼女と過ごした数ヶ月を思い出していく・・・
膵臓の病を患う彼女が書いていた「共病文庫」(=闘病日記)を偶然見つけたことから、【僕】(北村匠海)と桜良は次第に一緒に過ごすことに。
だが、眩いまでに懸命に生きる彼女の日々はやがて、終わりを告げる。

桜良の死から12年。
結婚を目前に控えた彼女の親友・恭子(北川景子)もまた、【僕】と同様に、桜良と過ごした日々を思い出していた・・・
そして、ある事をきっかけに、桜良が12年の時を超えて伝えたかった本当の想いを知る2人・・・(公式サイトより)


原作は2015年に出版された住野よるの同名小説。
もともとは「小説になろう」という小説投稿サイトに投稿されていた作品でした。
今はネットからさまざまな小説が出版されることが当たり前になりましたね〜
私はネット小説というとケータイ小説のイメージがあるので、ちょっと不思議な感じです(笑)

監督は月川翔
他の作品を観たことがないのですが、『黒崎くんの言いなりになんてならない』『君と100回目の恋』などの恋愛映画を多く手がけているようです。
2018年には『となりの怪物くん』の公開が控えています。

主演を務めるのは北村匠海浜辺美波
新進気鋭の若手2人です!

大人でもじんときちゃう純愛映画!


良い映画だった・・・
まあ若者向けのせつない恋物語だろう〜とたかをくくっていたのですが、大人でも感動してしまいますね!

恋愛物語だろうしと思っていましたが、どちらかというとほんのり恋愛要素もありつつの友情物語になってましたね。
このくらいの雰囲気なら、普段恋愛映画が苦手な人でも楽しめると思います
序盤の2人の高校生らしいイチャイチャに当てられまくってましたが(笑)、クライマックスの展開には泣かされてしまいました。
泣くな泣くなと我慢していましたが、共病文庫を読んだ後の僕のセリフでこちらも耐えていた涙腺が崩壊しました。

若手の役者陣の演技も思っていたよりも上手で、自然と物語の中に引き込まれていきました。
特に浜辺美波はキラキラしてましたね!笑顔が太陽のように眩しい。
前向きなヒロインとマッチしてました。
若手の方はどの方もみたことがなかったのですが、これをきっかけに色々な作品で活躍するかもしれませんね!

静寂が心地よく、邦画らしい演出がとても作品の雰囲気に合っていました。
エンディングのミスチルの曲も作品に寄り添っていて、エンドロールは涙を乾かしながらじっと歌詞とメロディに耳をすませていました。

彼女の秘密を知ってしまった僕と彼女の日々


本作は、余命あと僅かの女の子ととちょっとしたきっかけでその秘密を知ってしまう男の子の交流を通じて、「生」の価値他人とつながることの素晴らしさを描いた青春物語です。

映画の物語は現代から始まり、主人公の「僕」が高校時代を思い出していく展開です。
今の僕が過去の僕にかわるシーンの演出が自然でよかったですね。

「僕」桜良の出会いは高校時代。
僕がある本を拾ってしまったことから始まります。
その本は闘病日記で、持ち主は同じクラスメートの山内桜良でした。

桜良は膵臓に病気を抱えていることを知ってしまった僕は、桜良と交流を深めるようになっていきます。
ううん秘密の共有というのは人と人との距離を縮める最高のスパイスですね。
桜良と出会ったことで、他人と関わりを持ちたがらなかった僕が少しずつ変わっていく姿も印象的でした。

桜良は図書委員になって僕と本の分類作業をしたり、死ぬまでにやりたいことリストをつくり一緒に実行しようと僕を巻き込んでいきます。
僕は最初はいやいや付き合っていましたが、桜良の健気でひたむきな姿に徐々に考えが変わっていきます。

本編の前半は僕と桜良の交流が描かれます。
まあ前半のシーンが恥ずかしいのなんのって!(笑)
青春全開で私のヒットポイントはほぼゼロになりました。

女子高生とかならキュンキュンしちゃう〜って思うのでしょうが、さすがにもうキュンキュンできませんでしたよ・・・
ひゃ〜恥ずかしいむりむり!とカッカしながらみていました。
旅行のシーンでは、そもそも親の同意なしで高校生だけで泊まれるのか?とかつまんないツッコミをしてしまった自分にがっかりしました(笑)

ストーリーが進むにつれ、桜良の病気は進行していきます。
それでも気丈に振る舞う桜良の健気さ・・・
僕も気持ちを外側に出していくようになります。

クライマックスはああ多分これもう会えないやつだ、と思っていたのですが、まさかそうくるとは思っていなかったので真相を知った時はびっくりしました。
そこで心をぐっと掴まれた後に明かされる共病文庫の内容にもう涙涙。
僕の「お門違いなのはわかっているんですけど、もう泣いても良いですか」というセリフに一緒に涙。
お門違いだなんて言わないで・・・なんて良い子なんだ・・・

本編のラストは現代に戻り、先生になった僕が桜良からの手紙を思い出の図書室でみつけます。
時が経って亡くなった人が残したものを初めてみつける時の気持ちを考えながらみていたらまた涙が。
「君の膵臓を食べたい」というタイトルの意味は結構序盤で明かされるのですが、最後の最後でこれでもかというくらいそのタイトルの意味に泣かされたところで本編は幕を閉じます。

思わずニヤニヤしてしまうシーンもありましたが、恋愛物語というよりは友情物語のストーリーでしたね。
タイトルの『君の膵臓を食べたい』という意味は、桜良が劇中で「昔の人は自分の体の悪い部分があると動物のその部分を食べれば治ると信じられてきた」といって表向きな意味は回収しています。
ですが本当は、お互いがお互いになりたい、という憧れの意味が込められていたということがラストでわかるようになってました。

桜良と出会って変わっていく僕


他人に心を開きたくない僕は、クラスの人気者の桜良と出会ったことで変わっていきます。
明るい桜良と地味で目立たない僕。
対照的な2人ですが、桜良の明るさにどんどん僕が変わっていく姿にもほっこりしますね。

最初はうつむきがちだった僕が、いつのまにか前を向いていて、表情が明るくなっているのもいいですね。
もっさりしていた前髪も気がつけばなんだかちょっと短くなっていた・・・?

桜良のことが大切だという気持ちが抑えられなくなってくる僕がたまりません。
桜良の家でのシーンも印象的でしたが、こっそり夜中に忍び込んだ病室で桜良に対して言った「君が心配なんだ」と言うシーンの方が僕らしいセリフで好きです。

一方桜良ちゃん。この子も明るくて健気で、まさにヒマワリのような女の子
なんでそんないつもニコニコしていられるのよ!
自分の余命が決まっていたらそんなに前向きになれるものだろうかと考えてしまいました。

物語の序盤でひねくれたことを言う僕に対して桜が返す、「どんな人でも1日の価値は同じだよ」と言うセリフがとても胸に刺さりました。
そうだなあそのとおりだなあ。
そのセリフが胸に響いていたからこそ余計にラストでのいくつかの展開にやるせなさを感じてしまいました。

あとはガムくれる男の子がイカしてましたね。やっぱり1人は癖のあるキャラクターがいないとね!
ガムボーイが出てくるたびに小休憩のような感じで癒されてました(笑)

若手の役者陣いいじゃないですか!


出演者がほぼ若手の役者ばかりでどうなのかなと思っていましたが、結構良かった!
そんなにこりゃひどいって人もいなかったし、みんなこれからが楽しみなばかりです。

僕を演じた北村匠海の普通の高校生という感じの雰囲気も良かったな〜
全くの新人というわけじゃなくてちょこちょこ色々な作品に出ているんですね。
今風の流行りの顔立ちしてるな〜こりゃもてるな〜とか思いながらみてました。

そして浜辺美波
はいかわいいかわいい!笑顔が素敵ですね!
桜良はいつも笑っていて、その度にこりゃあかわいいなあと思っていました(笑)
下がり眉に八重歯がキュート。

最初に登場した時のキャピッとした感じがあっこれはダメかもしれない、と思っていたのですが、いつの間にがそのキャピッとした感じが自然と違和感なく受け入れらていました。
こちら側が慣れたのか、彼女が撮影中に成長したのか・・・
桜良というキャラクターがちょっと癖のある言葉遣いというか、青春小説の女の子の王道な話し方なので意識してああいう演技にしているのかもしれませんね。

ガムをくれる男の子、宮田の高校時代を演じているのは矢本悠馬
調べてみたら26歳だった・・・若く見えますね!
そして劇団出身の実力者。なるほど、そりゃあんな程よい存在感のあるキャラクターを上手く演じられますわ。
名バイプレイヤーの香りがします。

大人になった僕やクラスメイトを演じるのは小栗旬北川景子上地雄輔と豪華なメンバー。
小栗くんが普通の男性キャラクターを演じているのを久々にみましたね。
最近というかここ数年は癖のある役が多かった気がするので、おとなしくて暗い感じのキャラクターを演じている彼をみて演じ分けの幅の広さにさすがだなあと感心しました。

邦画らしい静寂や間の取り方が素敵


全編通して静かに物語が進んでいきます。
あまりBGMは使われず、自然の音や間合いで作品の中へと引き込んできます。

静寂自然の音間合いの使い方がいいなあと思うのは邦画の方が多い気がしますね。
私たちがいつも暮らしている日常が舞台なので、余計な音楽が少なかったのは良い演出でした。
ラストも余韻がある終わり方で、ほうとため息が漏れるような気分になりました。
情緒ある終わり方は、小説原作の映画において非常に多い演出で、私にとっても好きな演出の1つです。
もちろんドカーンバーンジャーーーン!な終わり方も好きですけどね。

エンディングのMr.Children『himawari』もよかったですね!
もともとミスチルが好きで、最近の「Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25」にも行ったのですがその時きいた『himawari』は結構ロック調の強いナンバーだったんです。
でもCDはやさしい歌声で歌っていて、なんでこんなにCDとライブで曲の雰囲気が違うんだろうなと思っていたんですね。

ところがこの映画を観てCDとライブで雰囲気が違う理由がなんとなく分かりました。
映画のあの余韻がたっぷりある終わり方だからこそ、CDでは優しい歌にしていたのかもしれませんね。

あんなにジーンときて胸がいっぱいになっているところでロックな曲が来たら混乱してしまうから、ミスチルはあえてやさしい雰囲気の曲に仕上げたのではないでしょうか。
仕事ではクライアントの意向に沿った作品を生み出す。そして自分たちのライブでは、自分たち流の曲に仕上げる。
さすがモンスターバンドはやることが違うぜ!

ミスチルファンとしてはこの発見ができたのも観にいって良かったなと思った点です(笑)

良かった点


・健気なヒロイン、他のキャラクターたち
・若手の役者たち


桜良がずっと前向きで明るかったのはよかったですね。
本当は色々な葛藤があったんだろうけど、そういう部分を決してみせないという意思が感じられるキャラクターに好感が持てます。
若手の役者の皆さんが思っていた以上に良い演技をされてました。

悪かった点


・ありきたりなストーリー

正直言ってしまえば、数年に一度こういう作品は流行るんですよね。
『世界の中心で愛を叫ぶ』、『今、会いに行きます』、『四月は君の嘘』などなど。
映画としては良くできていると思いますが、この感じ見覚えがあるな〜と思ってしまいました。

まとめ


お涙頂戴の悲恋ものと思い込んでいたら、全くそんなことはない良い作品でした。
生きることの価値を改めて考えさせられます。
少しずつお互いが変わっていく主人公とヒロインの友情・愛情にもじんわりときて、ラストは涙が溢れてしまいました。

最近はこういうしっとりやわらかな雰囲気の映画を観ていなかったので、久々の感覚に心が癒されました。
ぜひ大切な人と観にいって欲しい作品です。

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)
住野 よる
双葉社 (2017-04-27)
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