本当の自分は誰なのか。原作へのリスペクトを感じるオマージュが満載『ゴースト・イン・ザ・シェル』

いよいよ待ちに待っていた『ゴースト・イン・ザ・シェル』が公開となりました!!
ワールドプレミアは当たらず、スカーレット・ヨハンソンにも会えず、忸怩たる思いで今日この日まで待ち続けていたぞ・・・!



元々作品のファンで、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0』と『イノセンス』をあらかじめ見直しておさらいしておきましたが、それが見事功を奏した形となりました。

ゴースト・イン・ザ・シェル(GHOST IN THE SHELL)


監督ルパート・サンダース
脚本ジェイミー・モス
ウィリアム・ウィーラー
アーレン・クルーガー
出演者スカーレット・ヨハンソン
ピルー・アスベック
ビートたけし
ジュリエット・ビノシュ
マイケル・ピット
チン・ハン
ダヌーシャ・サマル
ラザルス・ラトゥーエル
泉原豊
タワンダ・マニーモ
公開2004年
製作国日本





あらすじ



未来。人と機械の共存が進み、お互いの境界線は曖昧となっている世界。
生身の身体から脳だけを取り出し、ロボットに移植する「電脳化」の技術が進み、人々はサイボーグ化の一途をたどっていた。

公安9課に所属するミラ・キリアン少佐は、全身を義体化したサイボーグ。
自信の存在を証明するのは、脳とわずかな記憶だけ。

ある日、テロ組織の襲撃事件が起きる。
少佐は事前に得た情報で、チームとともに事件の捜査に当たっていた。
テロ事件の犯人は「クゼ」という名の男だと判明し、彼の居場所探す少佐だったが、事件を追ううちに、自身に隠された秘密が明らかになってくる・・・。


原作は士郎正宗氏の漫画、『攻殻機動隊』
これを1996年押井守氏がアニメ映画化した作品が、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』
当時日本ではそこまで話題にならなかったものの、アメリカで大ヒットし、逆輸入という形で日本でも人気に火がつきました。
有名なのが、『マトリックス』は『攻殻機動隊』にインスパイアされた作品だという話ですかね。
確かに、オープニングのタイトルや後頭部にプラグを差し込むモーションは似たようなところがありますね。

さて、本作の監督はルパート・サンダース
監督を務めるのはこれで2作目。
1作目は『スノーホワイト』とという、白雪姫をベースとしたダークファンタジー映画を作っています。
確か去年続編をやってましたよね!
1作目を観てなかったのでスルーしてしまったのですが、今度DVDを借りてみようかな。

原作への愛とリスペクトを感じる


ううっ・・・めっちゃ興奮した・・・!!!!!
原作アニメへのリスペクトがすごい!
漫画、アニメ映画、テレビアニメ、全ての美味しいシーンを混ぜて作ったような作品です。

ああ、このシーンはあの作品からだ!ここはあれだ!とファンとしては、オマージュの多さに大盛り上がりの2時間でした。

ただ、ストーリーに関しては大衆向けの仕上がりになっていて、なんか違うんだよな〜と感じました。
今回は少佐が自身の過去を知っていくストーリー展開で、攻殻おきまりの、テーマはシンプルなのに情報量が多すぎて何を言ってるのかわからないけどそこがクール!という、あの独特の世界観の要素はほとんどなかったのが残念です。
哲学的な小難しいテーマは一切ないと言っていいでしょう。

『攻殻機動隊』は『ARISE』テレビアニメシリーズのif世界などさまざまな展開があり、色んな世界を描いていい作品だと思っているので、私は本作の世界観もストーリーも受け入れられましたが、原作の漫画が好きな方や、押井守監督のアニメ映画版が好きな人はイマイチに感じたかもしれませんね。

アクションシーンや映像に関しては期待通りのかっこよさ。
クラブに潜入して、ポールに腕を縛られながらもアクションを決めるスカーレット・ヨハンソンがたまんなくかっこよくてシビれました。

やっぱり光学迷彩のシーンは興奮しますね〜!
ラストはきっとあの終わり方だろうと思っていたし、絶対にそうであってくれと願っていたので、理想のシーンで大満足でした。

少佐は本当の自分自身を探す


はっきりいって、ストーリーはよくあるSF映画のようです。
自分の過去を知らない女性が、とある事件をきっかけに記憶にほころびが生まれ、やがてそれが偽りであることを知り、本当の自分の過去を見つける。
これはなんというか・・・SFあるある・・・(小声)

義体化を推奨しビジネスとしている会社の実験とさせられてしまっていた、という時点でちょっと本来の攻殻らしくないかな。
魂と身体の共存することの疑問や必要性という部分にも触れてはいるのですが、そこまで掘り下げていないんですよね。
本当の自分は誰なのか、どこにあるのか、それを少佐が探していく物語が中心でした。

原作では、少佐自身が、自身の存在意義や魂と身体の共有する意味について能動的に疑問を抱き、一つの結論に達していくというストーリーなのがいいのであって、他人に振り回されている少佐は「らしく」ないんですよね〜

でも最後のクゼとのやりとりはちょっぴり感動してしまった。
多分この世界の少佐は融合しないんだろうなあ、と思っていたので、クゼの提案を拒否したのは予想通りでした。
でも少佐の「いいえ」というセリフを聞いて、ああ、この世界の少佐は「人間」であることを選んだんだ・・・と別のラストをみることができた感慨にふけっていました。

あとは「ネット社会」の描写がほとんどない!
それがファン的には物足りない、と感じるポイントの一つなのかも。
「ハックする」というセリフはあるものの、実際にハッキングしている描写はないし、手に汗握る高度なハッキング対決というのもないんですよね。
その分少佐にフォーカスを当てている割合が多いですね。

『攻殻機動隊』といえば、少佐といえば、切っても切れないのが「ネットの世界」でしょう!
敵を倒して少佐が重いっきしプラグ引っこ抜いて、指示を待たずにダイブってのがみたいんじゃー!
首元のプラグにさすのは薬くらいで・・・薬漬けな少佐なんて・・・

以上から、この作品は『攻殻機動隊』であって『攻殻機動隊』ではない、という認識をしました。
おそらく原作の雰囲気とは違うだろうというある程度の覚悟はしていたので、実際チープなストーリー展開でもまあそうだろうな、という結構余裕を持った気持ちで鑑賞できました。
映像や実写化、という点において興奮していたんだと今気づきました。

人間らしい少佐


『ゴースト・イン・ザ・シェル』の少佐は割と人間らしく感情の揺らぎが大きい
この少佐はもともと成人した人間だったという過去が影響しているのかもしれませんね。
自分が人間でない、過去がない、ということに不安と苦しみ、孤独を感じている人間らしい一面が写し出されていました。

日本で展開している『攻殻機動隊シリーズ』だと、『ARISE』の少佐に近い感じだったかな?
私の知ってるメスゴリラ少佐要素は少なく、そこはちょっと残念。

「あらそう、じゃあ死になさい」とか「そう囁くのよ、私のゴーストが」
などのファンにはたまらない名言が欲しかったんですけど、残念ながら拝聴できず。
メスゴリラになる前の少佐という感じでしたね(笑)

でも自宅のベッドに座ってプラグを繋がれているシーンをみた瞬間、少佐がいる・・・少佐はいたんだ・・・と感動しちゃいました。

スカーレット・ヨハンソンでよかったよ〜


いや〜キャストはスカーレット・ヨハンソンでばっちしですね!!!
彼女が少佐を演じると聞いて私は大喜びでした。

アジア系のキャラクターを白人が演じることに何やら議論が巻き起こっていたそうですが、少佐ってそもそも何者でもないじゃん?
少佐にとっては身体はあくまで、外部との接触手段の一つにしか過ぎないから・・・
この作品に関しては別にどなたが演じても私は気にならなかったかな。

少佐の髪型もアッシュとか入っておしゃれになってましたね。
漫画やアニメの実写ってビジュアルが全然違ってがっかりすることが多いのですが、スカーレット・ヨハンソンの少佐はかなり好みのビジュアルでした。

予告をみてずっと楽しみにしていた、窓をぶち破っていくシーンと、ポールでのアクションがもう最高にかっこよくて、彼女の身体能力の高さに驚かされました。
走り方もどことなくアンドロイドっぽいような動きにしているような?
彼女の常にどこか不安げな表情もいいですし、感情をむき出しにして歩いているシーンもとてもよかったです。

日本人キャストも活躍していましたね!
桃井かおりが異常に若くみえてびっくりした・・・脚めっちゃ綺麗・・・

ビートたけしはいい味出してた!
アウトレイジっぽい雰囲気漂ってたけど、どちらかというと押井版の荒巻課長という感じでよかったです。

ただ、何を言っているのかわからない(笑)
時々横の字幕に助けてもらってました。
まあご本人が日本語のセリフなら出るっておっしゃって交渉が決まったそうなので仕方ありませんが、課長だけが日本語で喋ってる空間は不思議な感じでしたね。

旧キャストで吹き替えをしてくれたスタッフ、本当にありがとう


本当にありがとう・・・
吹き替え、最高でした。また田中さんの少佐に会えるなんて・・・
本編終盤の、バトーが少佐に本当の名前を聞くシーンで、少佐が「素子・・・」と答えた時の田中さんの声が、すごくグッときまして。
ああ帰ってきてくれた、と胸がいっぱいになりました。

田中さんは、吹き替えの演技とアニメのキャラクターの演技をうまい具合に混ぜて演じられていましたね。
おそらく吹き替えを観に来る人ってファンの方が多いでしょうし、みんな「あの少佐」を期待して観に来るだろうから、ファンの方の期待にも応えつつ、スカーレット・ヨハンソンが演じる「少佐」にも沿った演技をされている。
ああ人間味のある少佐だな、と思う時もあればふとしたセリフにいつもの少佐らしい声色やトーンを感じる。
うまくバランスが取れているなあと感心しました。

バトーはちょっとやんちゃな感じの演技で、若々しい声でした。
『イノセンス』のような渋いハードボイルな感じではないのですが、確かに今作のバトーはあそこまで悟りは開けていないだろうな(笑)
大塚さんもそういう微妙な違いを意識して、演じられていますよね。

トグサはそのまんまトグサだった。
すごくないですか?初めてアニメ化されたのって20年前ですよ?
さすがに20年経てば、多少の声質の変化というのはどうしても出て来ると思うのですが、全くあの頃と変わらない
山寺さんってやっぱり凄い声優さんですよね。敵いませんね。

アニメ映画版、テレビアニメシリーズのファンは絶対吹き替え観に行くべきですね。
そして私は仲野さんの声を聞いて、彼がイシカワだと気づきました。ごめん(笑)

芸術的なCG、オマージュ満載の世界観


CGはもう何もいうことない・・・素晴らしかった。
OPからクライマックスでしたよほんと。
義体が水中から浮き上がってくるときの、液体の流れが美しいのなんのって。
そしてそこから全身を覆っていた白い塗装が花びらのように剥がれるCG。
ここは『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』のオマージュですね。

少佐が現場に乗り込む時のガラスの散り具合も美しいし、アクションシーンにおいても、全体的に品のある芸術的なCG演出だったなと思います。

光学迷彩の表現の仕方も良かったですね!
光学迷彩で水の上を走るシーンでの水しぶきや、水上でのアクションシーンの動きとか、もう感動ですね。
『攻殻機動隊』の光学迷彩が実写でみられる日が来るとは・・・

私がCGで一番目を見張ったのが、終盤カッター社長が課長に撃たれて机に倒れるシーンですかね。
倒れた反動で机の中の水しぶきが上がるのですが、その水が迫って来る時のCGが息をのむほどの美しさ。
なんじゃこりゃと驚きました。

近未来なのに退廃的な『攻殻機動隊』の世界観もよく表現されていましたね。
日本語の文字や言葉があちこちに散らばっていて、日本人としてはやはりワクワクしました。

そしてあらゆるシリーズからのオマージュ
最初から最後まであちこちに既視感の感じるシーンが多くて、大興奮でした。
OPもそうですし、ビル落ちもやってくれて、多脚戦車との戦いも燃え上がる。
登場するキャラクターや、少佐の衣装もこだわってましたし、挙げればキリがない。
バセット・ハウンドのガブリエルやアバロン・アパートなど、そこまでやるか!と。
スタッフに敬礼です。

あ、「素子」のアクセントも日本語寄りにしていたのが、細かいながらもなんだか嬉しかったです。
「と」じゃなくて「も」にアクセントがついているんですよ〜

良かった点


・原作へのリスペクトが全開
・少佐のアクションがかっこいい
・美しいCG


やはり監督・スタッフのみなさんの原作へのリスペクト・愛がこれでもかというくらいに感じられたのが良かったですね。
すごく実写化することに対して、神経を使っているのがわかります。
アクションやCGも原作の世界観によせようと作られています。

悪かった点


・ありがちなストーリー

ストーリーは『攻殻機動隊』の世界観を、よりわかりやすく伝えられるようにつくっています。
原作を知っている人からすると、物足りなさを感じると思います。

まとめ


総評、最高でした!!

ただ、『攻殻機動隊』の持つ哲学的で重苦しい独特な雰囲気が好きでもあるのですが、その要素はほとんどないので、そこが攻殻のいいところなのに!と思っている人にはあまり受け入れにくい作品ではありますよね。
SFアクション映画よりになってしまっているのは否めない。
しかし制作スタッフはよくやったと思うよ・・・いまは売れる映画をつくらなきゃいけない厳しい時代ですからね。

ファンだからこそ比較してしまう点はたくさんあったのですが、それを超えるほどの制作陣の原作リスペクトと愛に包まれた作品です。
今までの『攻殻機動隊シリーズ』からのオマージがてんこ盛りなので、どの作品からのオマージュなのか探しながらみるのもワクワクして楽しいです。

アニメ映画・テレビアニメシリーズをみたことがあるという方は、是非吹き替え版もみてください。



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